総選挙「政権選択選挙」の好機と捉えよ

2021年07月11日 08:27

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衆議院解散・総選挙が直前に迫っている。前哨戦ともいえる都議会議員選挙(定数127議席)では自公が連携して戦ったが56議席にとどまり「自公で過半数」(64議席)に届かなかった

 衆議院解散・総選挙が直前に迫っている。前哨戦ともいえる都議会議員選挙(定数127議席)では自公が連携して戦ったが56議席にとどまり「自公で過半数」(64議席)に届かなかった。公明は23と増減なし。自民は8議席伸ばしたが、目標を大幅に下回った。

 一方、立憲は8議席から15議席に、共産も1議席増やし19議席になった。立憲・共産による選挙区での『候補一本化』が功を奏した。

 武蔵野市は候補一本化で立憲候補がトップ当選。中野区も立憲候補がトップ当選。文京区では共産候補がトップ当選、日野市でも共産候補が自民現職に競り勝った。江戸川区も新人の共産候補が新人の自民候補に競り勝った。野党候補一本化で政権交代があり得ることを示している。

 立憲・共産の国会議員が互いに街頭でマイクを握り、支持を訴えた結果だろう。自公が候補一本化で戦うのと同様、野党が候補を一本化して戦うことの重要さを実証した。

 立憲の安住淳国対委員長は「如実に成果が出た」と実感したことが報道された。逆に共産との選挙協力を否定する国民民主は1議席もとれなかった。「リアルパワーは何なのかを見なければ」と安住氏が表現したと言われているが、国民民主は前原誠司氏ら幹部に共産とは最初から相容れないメンバーがいるので、国民民主を含めた野党候補一本化はまとまらないと思われる。そのことは今回の都議選でも浮き彫りになったのではないか。

 立憲はこの際、野党第1党としての責任があることを自覚し、今回の都議選での『選挙協力の実効性』を踏まえ、「立憲・社民・共産」の3党間での選挙区候補1本化を実現し、選挙協力体制を敷く英断をすることが必要だろう。

 選挙協力に外すべきは共産か、国民民主か、という選択を迫られれば、外すべきは国民民主であることは都議選が明確に示している。

 連合の要望を政党として受けることは当然だが、選挙で連合に頼らなくても、3党間選挙協力が実現すれば、無党派層はむしろ「自公政権」か「立憲軸の政権」か、クリアな選択肢を提供してもらえたと、投票行動につながることもあるだろう。

 国民民主の椎葉加津也幹事長はマスコミ報道によると「国民民主は連合との2者だけで政策協定を結ぶ考えを示している」という。むしろ幸いではないのか。総選挙は誰もが分かり易い「政権選択選挙」に。次期選挙はその好機と立憲・共産・社民は腹を括るべきだ。そうでなければ政権交代の選択肢を国民に提供できる機会はこれから先、生まれる事さえないだろう。

 小選挙区制を導入した最大の効果は『政権交代』を引き起こしやすくすることにより、民意を国政に反映させやすくすることだ。実現可能な選択の機会が提供されなければ、民主主義を前に進めるうえでも、国民にとっても、大変不幸なことになる。(編集担当:森高龍二)