日本は人類未曾有の少子高齢化社会だ。高齢化が進めば就労困難なケースも増え生活困窮に至る者の数も増えるだろう。当然、生活保護受給の対象となる者も増加する。しかし、2010年頃より各種自立支援施策の効果もあってか被保護人員は全体としては減少傾向だ。その中でも、やはり、単身高齢世帯の保護は増加傾向にある。高齢者になれば就労や住居など社会生活上、多くの困難を抱えるようになる。特に家族や自宅を持たない場合など様々な契約が成立しないケースも増える。以外と知られていないことらしいが、高齢者が賃貸住宅を借りようとするとき家主から入居を拒否されるケースも少なくないようだ。
高齢者の賃貸契約を支援している宅建業者のR65が、全国の65歳以上と20代・30代の者を対象に「65歳以上が賃貸住宅を借りにくい問題(以下、「住宅難民問題」)」に関する調査を5月に実施、6月22日に、その集計結果レポートを公表している。レポートによれば、65歳以上の者に「入居を断られた経験があるか」と尋ねた結果では、全国で23.6%が「はい」と回答している。関東地域に限ると、「はい」と答えた者の割合は27.9%にのぼり、全国で4人に1人、関東では3割近くが高齢を理由に入居を拒否されているようだ。
「はい」と回答した者に「拒否された回数」を聞いたところ、「5回以上」と答えた者の割合は、全国で13.4%、関東で17.6%となった。レポートでは断られた要因として、年齢に加え「保証人の有無」、「収入」、「健康度合い」などが考えられとしている。
この高齢者の「住宅難民問題」について知っているかどうか尋ねた結果では、「はい(知っている)」と答えた者の割合は、65歳以上では64.2%、30代は41.4%、20代は35.6%となっており年齢が低下するほど認知度が低下している。これに関して20・30代の意見を聞いた結果では、「年齢を理由に住まいを選択できないことはおかしい」が63%、「将来のことを不安に思う」が67.8%となっており、72.7%が「社会課題としてもっと周知されるべき」と回答している。
自由回答を見ると「孤独死やトラブルの原因になるのは目にみえているが、国や行政がちゃんと対処して借りる側も貸す側も安心して過ごせる状況を作って欲しい」という意見も見られた。(編集担当:久保田雄城)