総務省が6日発表した家計調査で5月の2人以上勤労者世帯の実収入が前年同月比で、実質、名目ともにマイナス2.6%、マイナス2.7%になったことが分かった。1世帯当たりの収入は48万9019円だった。
一方、消費支出は2人以上の世帯では28万1063円と前年同月比で、実質11.6%増、名目11.5%の高い伸びになった。ただ昨年5月は新型コロナウイルス感染症での「緊急事態宣言」真っただ中。外食や旅行、交際関係機会など消費全般が控えられたため消費支出が少なかったことから、2桁の伸びになったといえよう。
武田良太総務大臣も6日の記者会見で「 前年の消費水準が低かった反動により増加したが、新型コロナウイルス感染症の影響が依然大きく現れており、引き続き今後の動向を注視していく」と語った。
消費に関してはソニーファイナンシャルホールディングス・シニアエコノミストの渡辺浩志氏はネットで「消費総額はコロナ禍前(19年)より減っていますが、中身を見ると減った品目と増えた品目で二極化している」と指摘。減ったものでは「交際費、外食、交通、宿泊・パック旅行等のサービス消費。感染防止の行動制限が直撃した品目」。
一方増えたものは「食品、住宅リフォーム、家具・家電、PC・通信機・ゲーム機などの巣ごもり消費。消費の変化は生活の変化を物語ります。仕事はオフィスから在宅へシフトし、出張はオンライン会議で済むようになり、交通費は通信機器の購入に代わりました。外食や飲み会が減った分、自宅での食事や飲酒が増え、食料品と酒類への支出が増えました。娯楽では旅行の代わりにテレビゲームに没頭する人も増えるなど、消費の主役はサービスからモノへと移りました」と指摘。
そのうえで今後については「サービスでリベンジ消費が期待されますが、サービスは時間消費であり飽和しやすく、大幅反発は見込み難いです。一方、巣ごもり消費は反動減が出やすそう」としている。(編集担当:森高龍二)