20日の都内のコロナ新規感染者が1387人になるなど、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が止まらず、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は8月第1週には都内での新規感染者が1日あたり3000人に近い数字になるとの危機感を示す中、東京五輪が23日開催されようとしている。福島では開会式に先行して21日、ソフトボール競技が始まった。コロナ感染拡大で五輪開催に懸念が広がっている。
こうした中、国際オリンピック委員会のバッハ会長は20日都内で開かれたIOC総会冒頭行事あいさつで「ついにここまできた。我々は結束し、リアルにお目にかかれている。ここに来るまで、なんという旅路だったでしょう」とあいさつ。東日本大震災、コロナという未曽有の困難の中でパートナーとしての友情が培われてきたと強調し、日本政府に感謝すると述べた。そのうえで「今回の東京大会で平和と連帯・強靭性(しなかかさ)のメッセージをパワフルに発信できる」と強調した。
都の小池百合子知事は「大会を3日後に控え、世界から多くの代表選手団を迎えている。
コロナ禍という世界が直面する困難の中、アスリートが活躍し輝く姿が人々にとって希望の明かりとなる。世界78億人が観客になる」とし、会場出席者らに「ともに新たな歴史をつくってまいりましょう」と呼び掛けた。
五輪大会組織委員会の橋本聖子会長は「開会式まであと3日、ようやくここにたどり着くことができた。組織が最重要課題として取り組んできたのが、いかにして安全安心な大会を実現できるかということであり、専門的な知見を得ながらコロナウイルス感染防止対策に万全を期してきた。IOCと政府の理解で世界のアスリート、日本の大会関係者へのワクチン接種が実現し、アスリートとこれを受け入れる日本国民に大きな安心が生まれた」と感謝した。
橋本氏は「わたしはずっとオリンピックともに生きてきた。この大会をやり遂げることに使命を感じている。新しいスポーツの在り方や見せ方など、多くの提案もできるのではないか。オリンピックの本質を発信できるきっかけになるのではないかと感じている。オリンピックのあらたなレガシーを築いていきたい。スポーツとアスリートこそ世界と未来を変える力があると確信している」とアピールした。
菅義偉総理は「コロナ感染拡大は世界中で一進一退を繰り返しているが、医療関係者の努力でワクチン接種も始まり、長いトンネルにようやく出口が見え始めてきていると思う。そうした中で東京大会が開催される。多くの競技は無観客だが、大会の意義は損なわれるものではない。世界が大きな困難を迎えている今こそ団結し、人類の努力と英知によって大会を開催することができる、そして成功することを世界に発信したい」と述べた。
また菅総理は「多様性と調和は大会のテーマ。大会での女性アスリートの割合は過去最高。パラリンピックではみんながともに助け合って生きるという共生社会の実現に向けて、こころのバリアフリーの精神を世界に発信していきたい。安全安心の大会を実現する決意であり、協力を心からお願いしたい」と感染拡大防止への協力を求めた。(編集担当:森高龍二)