先の大戦への認識、表現 各党に温度差

2021年08月16日 06:40

 76回目の終戦記念日を15日迎え、各党あるいは党代表、幹事長談話から先の大戦への認識が伺い知れるものになった。

 自民党は「今日享受している平和と繁栄は、あの戦争によって命を落とされた多くの方々の尊い犠牲のうえに築かれていることを胸に刻み『二度と戦争の惨禍が繰り返されぬよう』改めて不戦の決意をいたします」と記した。

 表現として、戦争を始めた立ち位置からは「二度と戦争の惨禍を繰り返さぬよう」とするべきだが、党のスタンスがうかがえる。

 一方、立憲民主党は枝野幸男代表が代表談話を発表。先の大戦について「国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私たちは、この反省を痛切に胸に刻み、二度と戦争の惨禍を繰り返すことのないよう、改めて誓います」とした。

 そのうえで「立憲民主党は綱領において、立憲主義を守り、平和主義を堅持し、国際協調と専守防衛を貫くとの立場を明確にしています。こうした原点を忘れることなく、改めて国際社会の平和と繁栄に貢献していく決意を新たにします」と結んだ。

 日本共産党は小池晃書記局長が党機関紙「赤旗」で「76回目の終戦記念日にあたり、日本共産党は日本軍国主義による侵略戦争と植民地支配の犠牲となった人々への深い哀悼の意を表明するとともに、痛苦の体験をへて国民が手にした憲法9条を守り抜き、平和な日本と世界を築くために全力をあげる決意を新たにします」との決意を示した。

 また「日本共産党は米国であれ、中国であれ、どんな国でも覇権主義の行動に対しては『国連憲章と国際法を順守せよ』と迫る外交努力を尽くすことを求めます」と立ち位置を鮮明にしている。

 日本維新の会の松井一郎代表は過去の歴史認識には言及せず。党として「自由、民主主義、人権尊重、法の支配という普遍的価値観を共有する国・地域と力を合わせ、国際緊張の緩和に努めるとともに、現実に即した外交・安全保障政策を展開し、一片の曇りもなき世界平和の実現、維持に全力を傾注してまいります」とアピール。

 また「憲法9条の在り方につきましても背を向けることなく、国民の声に真摯に耳を傾け、慎重に検討していきます」との考えを発信した。

 産経新聞は15日紙面で「謝罪国家を脱却できたか」との特集を組んだ。この中で英ケンブリッジ大教授のバラク・クシュナー氏の意見を紹介。バラク氏は「謝罪やお詫びに政治的な行動が伴っておらず、それが誠意あるものと評価されていない」と助言。「日本が戦争犯罪に関する調査を自国で行っていないためだ」と提起した。

 そのうえで「式典で平和を語るだけでなく、戦時中の過ちを自ら追及する行動を起こさなければならない」としていることは示唆に富んでいる。戦争犯罪に関し、日本国自らが調査したことは76年を経た今もないままになっている。(編集担当:森高龍二)