「ご都合自民」自らの改憲案と矛盾する国会対応

2021年09月26日 09:36

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政府・自民党がコロナ対策より自党の総裁選びを優先、その日程に合わせ、総理を選ぶための臨時国会を10月4日に召集することを21日、閣議決定した

 政府・自民党がコロナ対策より自党の総裁選びを優先、その日程に合わせ、総理を選ぶための臨時国会を10月4日に召集することを21日、閣議決定した。

コロナ対応へ補正予算追加審議を求め、立憲・共産・社民らが「憲法53条」規定に基づき国会召集を要請したが、80日間拒否し続けた。それでも総理選出の国会だけは召集する。

 国民より選挙の顔選びと党内勢力争い。随分と自民の質が劣化したと感じる。

 政府・自民は憲法53条をどう解釈し、憲法規定に基づいた要求の重さをどう受け止めているのか。53条後段は「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と義務づけている。

 要求があった日から何日以内に開かなければならないとの規定がないが、これは国民から選挙で選ばれた国会議員(選良)と憲法を遵守し行政を進めなければならない政府との「良識・国民に対する責任」に照らし、日を置かず召集すると考えたとみるのが自然。

 そのことは自民党の「憲法改正案」でさえ「要求のあった日から20日以内に臨時国会が召集されなければならない」と明確に規定していることからも、わかる。

 政府・自民は自らも党として改正案に規定する『自覚』を持ちながら、現行憲法では規定が明示されてないからと政府・与党にとって都合良く先送りできるとでも、勝手な解釈をしているのか。

 安倍内閣発足から憲法は政府の都合で解釈がコロコロ変わり、法的安定性を失う憂慮すべき事態に陥っている。

 今回は菅政権での対応だが、同じことが2017年の安倍政権でも起きた。この年の6月22日、野党が憲法規定に基づき臨時国会召集を求めたが、安倍晋三総理と与党は98日間も逃げ続け、9月29日召集したかと思えば、審議拒否の「冒頭解散」という、国民に対し卑怯な手を使った。この時は、森友・加計を巡る疑惑に対し、安倍総理自身に説明責任を果たすよう要求したものだった。

 召集要求が出された当時、自民党国対委員長は竹下亘衆院議員(今月17日逝去された)だったが、17年8月3日からは森山裕衆院議員が就任し、同時に副委員長には田野瀬太道衆院議員(無所属)=緊急事態宣言の中、深夜に銀座クラブを訪ねていたことが明るみになり自民を今年2月に離党=が就いた。しかし、その後も政府・与党は野党要求に応じず、安倍総理を国会追求から逃したとしか思えない対応だった。

 森友・加計・桜に関しては公文書改ざん・隠ぺい・廃棄に加え、国会での虚偽答弁まで繰り返された。国民の知りたいことに答えない。公文書を「怪文書」とうそぶいた官房長官は現在の菅総理。

 2017年の臨時国会召集要求から98日間先送りしたことには、合憲性を争う裁判が起こされている。最近、朝日新聞や時事通信は元最高裁判事の浜田邦夫弁護士が原告側弁護団の依頼で意見書を裁判所に提出したと報じた。意見書は98日間の先送りは「明白に違憲」との内容を記しているとしている。

 報道によると浜田氏は「内閣に政治的判断に基づく裁量はない」と断じた。そして「臨時会召集の求めがあった日から原則30日以内。天変地異など臨時会など開催が困難な社会情勢でも最長45日以内には召集され、国会が開催されなければならない」との見解を示しているという。

 自民党の憲法改正案はそれよりさらに短い。「要求のあった日から20日以内」なのだ。自民党は自分たちの改正案の中身に対し、改正前であっても党の改正案が客観的にも合理的で、社会の良識に照らしても則したものとするなら「責任を持って行動すべき」。自らの改憲案と矛盾する対応は「ご都合自民」と酷評されても仕方ない。深い反省が必要。(編集担当:森高龍二)