近ごろ、よく耳にする「SDGs」(エスディージーズ)。カラフルなロゴや、アイコンは何となく印象に残ってはいるけれど、内容までは詳しく知らないという人も、まだまだ多いのではないだろうか。
SDGsとは、2015年9月に国連で採択された「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」のことだ。貧困や紛争、気候変動による自然災害、感染症といった人類が直面している課題を整理し、それらを改善すべく掲げられた、17の世界的目標、169の達成基準、232の指標からなる開発目標で、2030年までに世界各国が達成すべき指針とされている。
日本でも、政府のみならず、多くの企業や団体が SDGsに取り組んでいるが、国連や政府などが主導しているというだけで、SDGsにカタいイメージや取っつきにくい印象を持ってしまっている人もいるかもしれない。しかし、企業の取り組みの中には、デザイン性に富んだオシャレなものや、子どもたちでも気軽に参加できる楽しいものも多い。その代表的なものの一つが、木造注文住宅メーカーのアキュラホームが開発した、世界初の「木のストロー」だ。
若者に人気のカフェ・スターバックスや、マクドナルドなどのファストフード店でも続々と、脱プラスチックストローの動きがみられる中、2018年に誕生した同社の「木のストロー」は、間伐材の新たな活用提案や廃プラ問題解決に貢献するアイテムとして各方面で大きな評価を得、キッズデザイン賞・グッドデザイン賞・ウッドデザイン賞の他、多数の賞を受賞。2019年に開催されたG20大阪サミットの各会場でも使用され、世界のVIPたちからも賞賛を受けるなど、海外からの注目度も高い。
しかし、この木のストローの最も優れているところは、エコや単なるプラスチックの代替品という枠に収まらず、木の持つ独特のぬくもりとデザイン性で、むしろプラスチック製よりも「こっちを使いたい」と思わせてしまう点ではないだろうか。
また、アキュラホームではこの木のストローの「製作キット」を販売しているのも面白い。杉の間伐材を厚さ0.15mmにスライスした素材(縦60mm/横300mm)を10度の角度をつけて4mmの丸棒に巻き、長さ210mmのストローを製作するキットで、所要時間10分ほどで、小学生でも簡単に木のストローを自作することができる。自宅や学校、教育団体などでの利用も広がっているようで、教育現場からの講演依頼やワークショップなども増えているという。同社では、1本の木のストローをSDGs14項目に紐づけ、多用な問題学習に対応するプログラムを提案しており、これまでに全国20校で環境授業を実施。木のストローは教育現場で環境問題を考える題材としても普及しているのだ。
世の中は今、情報化社会で、スマホ一つあれば手軽に欲しい情報が手に入る。でも逆に、自ら求めないと検索もしないし、新しい情報はなかなか入ってこない時代でもある。SDGsもそんな情報の一つなのではないだろうか。また、液晶の中で閲覧する文章や写真、動画だけでは分からないことも多い。自分が体験してはじめて分かること、感じることは多いはず。木のストローのような製品や身近な取り組みがもっと増えれば、SDGsの達成も難しいことではないのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)