自民公約に「敵基地攻撃能力保有を含む取組み」

2021年10月13日 06:40

 自民党は総選挙での公約「重点政策」に「弾道ミサイルなどへの対処能力を進化させるとともに『相手領域内で弾道ミサイルなどを阻止する能力』の保有を含めて、抑止力を向上させるための新たな取組みを進めます」と敵基地攻撃能力保有を含めた抑止力向上に取り組むことを公約に組み込んだ。

 党の「政策バンク」では中国の軍拡、尖閣諸島・台湾周辺などでの軍事活動の急速な活発化・力を背景とした一方的な現状変更の試み、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展などを背景にあげて「安全保障環境は激変、その対応を抜本的に見直す」と必要性を強調。

 第2次安倍政権以来、防衛費は過去最大を更新し続けてきたが、自民党は、ここにきて、防衛力強化のため「NATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)も念頭に、防衛関係費の増額を目指します」と防衛関係費の増額を目指すことを公約にあげた。「防衛技術・産業基盤の強化へ大幅な予算増や抜本的な体制強化を実施する」としている。

 岸田文雄総裁は自民党総裁選で「迅速に敵基地を無力化することができた国が自国を守ることができる」と主張し、敵のミサイル発射基地などを自衛目的で破壊する能力の保有を是とする考えを主張し、防衛関連研究費の増額を図ることも鮮明にしていた高市早苗元総務相を党の「政調会長」に任命した。タカ派の高市氏を政調会長に就任させた時点で、こうした公約盛り込みは予想されていた。

 岸田総理は8日の所信表明演説で「敵基地攻撃能力保有」の是非には言及せず、漠然と「国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の改定の取り組みの中で『更なる効果的措置を含むミサイル防衛能力』など、新しい時代の課題に果敢に取り組んでいきます」と表現していた。日本共産党は「敵基地攻撃能力保有は憲法違反だ」と指摘している。(編集担当:森高龍二)