今回の衆院選挙で絶対安定多数を獲得した自民の岸田文雄総裁は党是である憲法改正に前向きな姿勢を見せ始めた。これを受けて、改憲推進派の日本維新の会・松井一郎代表(大阪市長)は2日の定例記者会見で、来夏の参院選挙までに憲法改正草案をまとめ、改正を発議し、国民投票を参院選と同じ投票日に実施するべきとの考えを示した。維新は教育の無償化、統治機構の改革、憲法裁判所の設置を改憲項目にあげている。
これに弁護士で日本共産党の山添拓参院議員は「岸田首相が改憲に前向きの発言をしたかと思えば、即座に呼応する維新 改憲を求める世論は一貫して高まらず、その必要もない」ときっぱり。そのうえで「命とくらしを守る政治に背を向け改憲を煽る、これが維新の言う『改革』か」と酷評した。
自民党は安倍晋三総裁時代に自衛隊の明記や緊急事態条項の書き込みをあげ、党としての正式な手続きによるもののように既成事実化しているが、石破茂元幹事長は党として正式決定したものは2012年に策定した改正草案であるとし、2日のBSテレビ番組でも、改憲するなら憲法53条規定に「臨時国会召集の要求があった日から20日以内に召集されなければならない」(自民の2012年党決定改正草案)などの、期限規定こそ必要、規定がないからと開かないのは憲法の精神に反する旨の正論を言っている。
安倍政権も、菅政権も野党の臨時国会要求に応じず「条文を形骸化」させてきた。急ぐ必要があるとすれば、この条項だろう。(編集担当:森高龍二)