敵基地攻撃能力保有検討すると隊員に訓示 総理

2021年11月30日 06:19

 岸田文雄総理(自衛隊最高指揮官)は今年度の自衛隊記念日閲覧訓示で、自衛隊員らに中国、北朝鮮の動きを念頭に安全保障環境は厳しさを一層増しているなどとして「冷静に現実的に議論を突き詰め、国民の皆さんにしっかり御理解いただくことが政治の責任。私は国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の改定を指示したが、いわゆる敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を排除せず検討し、必要な防衛力を強化していく」と防衛力強化を明言した。

 岸田総理は機会あるごとに「敵基地攻撃能力の保有も含め検討する」と発信し続けている。そのこと自体が国民への「能力保有」是認を醸成、既定化していくことになることを意図したとも受け取れる。

 岸田総理は「我々はこれまで以上に厳しい現実に直面している。北朝鮮は安保理決議違反である弾道ミサイルの発射を続けている。極超音速滑空兵器や変則軌道のミサイルなど昨今の新たな技術の開発・向上を見過ごすことはできない」とし「中国は十分な透明性を欠いたままで軍事力を強化するとともに、一方的な現状変更の試みを継続している」と防衛力強化の必要性をアピールした。

 岸田総理は「岸田内閣では外交・安全保障と並び、重点政策として新しい資本主義の実現に総力を挙げて取り組んでいる。成長と分配の好循環を生み出し、成長の果実を国民の皆さん1人1人に実感してもらうことを目指しているが、こうした経済の成長は必要な防衛力を備え、我が国の平和と安定を守り抜いていくためにも重要な力となる」と経済成長により、必要な防衛力装備のための費用捻出ができることも語った。

 ただ、敵基地攻撃能力を持てば、平和憲法の下「専守防衛を徹底」し、敵基地攻撃を米国に依存してきた「矛と盾」の日米関係の役割が崩れ、日本が攻撃力でも役割を担うことになる道を開く危険性もある。当然、政府は「日米の役割分担を変更することは考えていない」と否定を続けると思われるが・・・。(編集担当:森高龍二)