「現実直視で、敵基地攻撃能力保有含め、検討する」と岸信介防衛大臣。岸大臣が頻繁にこの発言を繰り返している。
防衛省は「国家安全保障戦略」と防衛政策の基本方針を示す「防衛大綱」それを裏付けていくための「中期防衛力整備計画」を改定するため、岸大臣自ら議長を務める『防衛力強化加速会議』を今月立ち上げた。そこでも岸大臣は「防衛力強化に一刻の猶予も許されない」とし「現実直視」を強調した。
岸大臣は「極超音速兵器や変則軌道で飛来するミサイルなど、急速なスピードで(我が国周辺の軍備力が)進化している」旨を語り「国民の命、平和な暮らしを守るために、あらゆる選択肢を排除せず、冷静かつ現実的な議論をしっかり突き詰めていく」としている。
頻繁に「現実直視で、敵基地攻撃能力保有含め、検討」との防衛大臣から発せられるメッセージは世論理解の醸成を狙ったものにも見える。
その発言に合わせて防衛大臣に必要なのは安全保障環境に対する国民の危機感を高めて敵基地攻撃能力保有を正当化させることではなく、「現実直視」の現実部分の客観的、科学的事実のみを示したうえで、平和憲法の趣旨に照らして敵基地攻撃能力保有が妥当なのかどうか、敵基地攻撃能力保有の他に術がないのか、検討事態が専守防衛の域を逸脱することにならないのか、日米の役割(盾と矛)に変化が生じることにならないのか」など、国民の懸念に丁寧に答えていくことも必要だ。(編集担当:森高龍二)