新型コロナ感染者数の急速な収束で、9月末には全国的に「緊急事態宣言」および「まん延防止措置」が解除され10月下旬には首都圏や大阪府の時短営業要請が解除になり、外食産業の営業はほぼ正常化された。第6波への警戒心から客足は十分に戻って来ていないようだが産業全体の売上はコロナ前の9割り以上に回復している。しかし、業態別にみると洋風ファーストフードでコロナ以前の水準へと回復している一方で、居酒屋など酒類を提供する業態ではコロナ前の4割程度の回復で業態ごとに大きな格差が生まれているようだ。
11月25日、日本フードサービス協会、が10月の「外食産業市場動向調査」の結果を公表している。これによれば、産業全体の売上は前年並みの99.5%まで、コロナ禍前の一昨年と比べると93.9%にまでに回復している。
業態別にみると、ファーストフード業態の売上は前年比で105.4%、コロナ禍前の一昨年比では107.5%とコロナ以前を超える成長となっている。中でも「洋風」は前年比111.8%、一昨年対比では122.2%と2桁の成長となっている。「和風」は前年比98.1%、「麺類」はビジネス街での集客に苦戦し同95.5%、「持ち帰り米飯・回転寿司」はテイクアウト需要により同105.9と好調だ。
ファミリーレストラン業態の売上は前年比93.5%、一昨年比84.1%。「洋風」ではランチタイムの客足は戻ってきたもののディナータイムが不調で前年比92.9%、「和風」は同88.7%、「中華」はテイクアウト、デリバリーが好調で同99.9%だ。
パブ・居酒屋業態の売上は前年比69.2%、一昨年比46.5%。内訳は「パブ・ビアホール」が前年比77.2%、一昨年比41.7%、「居酒屋」前年比64.9%、一昨年比50.3%となっている。制限解除後は店舗が徐々に再開されたものの再開ペースは店によって異なり依然厳しい状況が続いているようだ。
ディナーレストラン業態の売上は前年比89.9%、一昨年比では74.0%と回復は不十分だ。郊外店舗を中心に個人客の戻りは見られるものの大人数宴会や法人需要はまだ戻ってきていない。喫茶業態の売上は前年比96.5%、一昨年対比76.9%。繁華街立地やターミナル駅の店舗では客の戻りがあったがオフィス街での客足は戻っていないようだ。
冬に向け第6波への警戒、新たな変異株の登場で国民の行動は慎重だ。しばらくは業態ごとの格差が広がりそうだ。(編集担当:久保田雄城)