2022年1月5日から8日までの4日間、 アメリカ・ラスベガスで世界最大のテクノロジー見本市CES 2022が開催された。コロナ禍の影響で2年ぶりのリアル開催となったCESだが、出展した日本企業は大きなインパクトを与えたようだ。
まず、独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)は2019年から毎年、日本のイノベーションやスタートアップを世界に広くPRするためCES内にJ-Startup/JAPANパビリオンを設置しているが、今回は過去最多となる52社が参加。しかも、そのうちの6社が、主催者であるCTAが会期前に特に優れたプロダクトと評価した企業に贈るイノベーションアワードを受賞している。イノベーションアワードを受賞した企業及びプロダクトは、株式会社エアラボの吸引式ハンドドライヤー「CIRCULA」、株式会社クォンタムオペレーションの非侵襲血糖値取得センサー、株式会社Piezo Sonicの自律搬送ロボット「Delivery AMR:Mighty-D3」、ライトタッチテクノロジー株式会社の採血のいらない非侵襲血糖値センサー、そしてCES2019に続き2度目の受賞となるmui Lab株式会社の木製IoTデバイス「muiボード」、さらには、Digital Imaging & Photography, Streaming, Wearable Technologies の3部門で同時受賞を果たしたフェアリーデバイセズ株式会社のLTE搭載ウェアラブルカメラ「LINKLETTM」。いずれも、今回の受賞が海外市場で飛躍する強力な足がかりとなるのは間違いないだろう。
そして、一際センセーショナルだったのが、ソニーグループの新たなる挑戦だ。ソニーグループは2年前のCESでもセダン型のコンセプトEV「VISION-S 01」を発表して大きな話題を呼んだが、今回のCES2022でもSUV型のコンセプトEV「VISION-S 02」を展示。会場に登壇したソニーグループ会長兼社長CEOの吉田憲一郎氏は EV市場への本格的な参入を検討していることを明らかにし、今春にはソニーモビリティ株式会社を設立することを発表した。ソニーブランドのEVが市場に出回るのはまだまだ先の話になるだろうが、世界に名だたる日本の電機メーカーが、本格的に自動車市場への参入を表明したことは、世界の自動車メーカーに大きな衝撃を与えたことだろう。今後の展開に期待が高まる。
CESへの出展は無かったようだが、EV関連で注目されているのはソニーだけではない。バッテリー効率と航続距離の延長に貢献し、EVへの搭載が加速するSiCデバイスにおいて、日本の電子部品メーカー・ローム株式会社も市場での存在感を強めている。同社はSiCデバイス開発を代表する企業として、ドイツの大手自動車電装部品メーカーVitesco Technologies社や、中国の自動車メーカー・吉利汽車(Geely)、同じく中国の総合車載Tier1メーカー・UAES社など、世界のEVメーカーやTier1各社と協業を積極的に進めているほか、2020年末には、福岡の生産拠点にSiCデバイスの生産拡大を目的とした新棟を建設するなど、積極的な動きを見せている。
もちろん、世界各国の企業やメーカーも、先進的で独創性にあふれた展示を展開していた。車関連では例えば、BMWがボタン1つで色が変わる車「BMW iX Flow」を公開するなど、便利さや効率だけでは図れないユニークな発想が豊富にみられるのも、CESの魅力の一つだ。そんな中、しかもコロナ禍の影響で自社のプロダクトを海外にアピールできるリアルな場が激減している昨今、この貴重な機会に多くの日本の企業がしっかりと存在感を示せたのは、未来につながる大きな成果といえるだろう。(編集担当:藤原伊織)