厚生労働省の発表によると、2022年2月11日、国内の新型コロナウイルス感染者の死者がついに累計で2万人を超えた。現在、第6波の感染拡大の中心となるオミクロン株は、これまで確認されているコロナ株と比べて致死率が低いと言われているものの、感染率が格段に高く、1日の死者数も連日、過去最多を更新する非常事態となっている。昨年秋から年末にかけては、一時的に感染状況が鎮静化し、このまま収束に向かうかと思われたコロナ禍だが、まだまだ油断できない状況が続きそうだ。
家庭やオフィスなどでも、すでにできる限りの感染対策には取り組んでいると思うが、それでもさらに細かい注意を払って、感染防止に努めるべきだろう。そのためには、自身の経験や意識だけでなく、幅広い情報を集めることが必要となってくる。とくに、最も多い時間を過ごす「家」をこれから新築、もしくはリフォームを検討しているような人にとっては、現在の住宅の傾向や注意すべき点などを細かく知りたいところではないだろうか。
そんな中、木造注文住宅メーカーのアキュラホームが、2009 年から2021年に同社で請け負って建築した全国の住宅から、各年あたりそれぞれ100棟を抽出し、10年間の住宅の傾向を調査し、発表して注目されている。今回の発表では、10年間で顧客が望む間取りの傾向がどのように変わってきたか、その変化に加え、直近のコロナ禍ならではの一時的な流行や変化 などについて発表している。
同調査によると、洗面所やシューズクローゼットなど、設置件数が増加している部屋やスペースは居室面積も増加している一方、設置が減少している和室やタタミコーナーでは逆に、面積も減少している傾向が 発見されたという。とくに目立つのがシューズクローゼットの増加で、その理由としては近年、ライフスタイルが多様化していることや、コロナ禍が後押しする形でアウトドアスポーツが流行していることで、スポーツ用品やアウトドア用品、バーベキュー用品などの収納スペースの需要が増えていることが挙げられる。
また、共働き世帯の増加にともなって、洗面所の面積が2019年の平均 2.3 帖 から、2021年には3.0 帖と増加しているのも興味深い。洗面所を広くとることで、洗濯から乾燥までを完結させることや、収納を充実させることで家事が効率化できる間取りに変化している傾向が見られるという。同社でも、「家事楽」を考え効率的な家事導線の間取りを提案しているというが、まさに消費者のニーズに合っているといえるだろう。そして意外にも、バルコニーの面積は19%も減少しているという。その代わり、室内干しスペースを設ける住宅が増えているようで、これは、外に干さず、室内に干す需要が増加していることを現している。
コロナ禍で一時的に人気を博した「玄関に入ってすぐ洗面スペース」があるような間取りは、2021年からは減少傾向にあるようで、その代わりに、玄関から他の居室を通ることなく、直接洗面所に行くことができる動線の採用が増えているという。玄関に入ってすぐ洗面スペースがある間取りでは、普段使う洗面所とは別になってしまうことが多かったが、2つの洗面台を設置するのではなく、間取りを工夫することで
コロナ禍に対応しようとする住宅が増えているようだ。
最近、コロナ禍の影響で、コロナ対策ばかりを意識した住宅商品も多く見受けられる。でも、住まいはコロナ後も住み続けることを忘れてはならない。新築やリフォームを検討する際には、その点にも充分注意したいものだ。(編集担当:藤原伊織)