SNSでのコミュニケーション活性化技術を開発。疲れに効くか

2013年02月26日 11:24

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NECが、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)において、対話を喚起する話題を見つけ出し提供することで、友人関係の構築や強化を実現するコミュニケーション活性化技術を開発したと発表した

 NEC<6701>が、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)において、対話を喚起する話題を見つけ出し提供することで、友人関係の構築や強化を実現するコミュニケーション活性化技術を開発したと発表。本技術を用いた評価実験では、導入前と比較して、SNS上でのコミュニケーション量が約2.1倍、利用者間の友人登録が約3.1倍に増加するなど、有意な結果が得られているという。

 SNSを導入しても、友人が少なく、対話の切っ掛けがないとコミュニケーションが発生しない。そんな状況を打破するのが、今回NECが開発した技術である。フェイスブックを筆頭に、これまでも話題や友人を推薦する機能は存在していた。しかし、従来の方法は、利用者個人の嗜好の基づく推薦であり、過去の興味や話題から変化がない。また、単純に友人の友人を推薦するに過ぎないため、人間関係が実世界の友人に留まる傾向があった。こうした状況に対し今回開発された技術では、話題の提供については、複数の利用者が対話しやすい話題を提供し、友人関係についても、過去にコメントした話題や閲覧履歴などから他の利用者との関係を高精度に推定して最適な友人を紹介する。これにより、コミュニケーションの切っ掛けとなる可能性や、新たな友人となる可能性を高めている。

 本技術については、NECとあすと長町仮設住宅自治会とが、仙台市の仮設住宅において実証実験を行っている。本実験は、被災地で顕著な人間関係の希薄化や高齢者の生活不活発化などの課題を解決するため、住民のコミュニティ参加により日常的な見守りの実現を目指すものである。具体的には、タブレット端末に配信される自治会からのお知らせやニュース記事等の話題を基に意見交換できる、地域専用の掲示板型SNSの提供。外出や就寝などの情報をタブレット端末に入力することで、あすと長町自治会の見守り担当員に利用者の状態の提供。スマートフォン上のTPOボタンを押すだけで、利用者の興味関心に合う地域の催し、ニュース、天気などをタイムリーに提供している。

 実証実験の内容からも推察されるように、本技術は、SNS利用者の中心となっている若年者をメインターゲットとしているのではなく、社会の中で孤立しがちな高齢者世帯や独居高齢者にとって有意なものとなっている。かつての日本には存在した「ムラ」や「世間」という人と人との繋がりを、SNS上で再生するものと言えるかもしれない。地域SNSの利用でこうした技術が広まれば、地域コミュニティの再生、活性化にも繋がるであろう。SNSを、友達ごっこの場やビジネスツールといった「疲れ」させるものから、脱皮させる切っ掛けとなれるのであろうか。今後の展開に注目が集まるところであろう。(編集担当:井畑学)