世界的な半導体不足が深刻化している。昨年秋からは半導体不足の影響で自動車の生産・販売が大幅に縮小し、未だ回復の目途は立たない。現代の多くの工業製品はコンピュータ制御であり電子回路によって制御されている。半導体不足の影響は自動車などの輸送用機械や産業用機械などにはとどまらず、我々の生活に直結する消費財の生産にも影響を与える。すでに半導体不足によって悪影響が出てきている分野が存在する。その一つが水まわり関連の製品だ。
3月2日、Webコンサルタント業のナインメディアが監修している情報サイト「マイナビニュース 水まわりのレスキューガイド」に、水まわりトラブル専門業者のイースマイルが半導体不足による水まわり関連への影響について取材に答えた記事が掲載された。これによれば、コロナ禍でのテレワーク普及の拡大に伴い半導体供給が追いついておらず、給湯器や温水洗浄便座等の納期に遅延が発生しており、給湯器の交換等の依頼に対しては代替品での提案や納期の延長を提案している現状のようだ。半導体は、ガス給湯器のほか、エコキュートやウォシュレットなどにも使われており、これらも同様に納期の遅延が発生している。リンナイ、ノーリツ、TOTOなどのメーカーに半導体が入って来ないため生産が追いつかず、水まわりトラブルの対応にも遅延が発生しているという状況らしい。
さらに、電気配線部品の一つである「ハーネス」の製造も工場がロックダウンにより稼働停止したことで納期に遅延が発生しており、仮に半導体不足が解消されても直ちには正常化出来ない可能性もあるという。工場のロックダウンは新型コロナの影響によるもののため、様々な遅延要因は長期化すると見込んでいるようだ。納期がどれくらい遅れているかはケースバイケースで具体的には答えられないようだが、「オーソドックスな給湯器でも約1ヶ月程度は遅れる」ことも少なくないようだ。
新型コロナは未だ収束が見えておらず半導体不足は長期化する見込みで、給湯器やトイレにも寿命があり、定期的に買い替えをしなければならず、その需要周期までに半導体不足が解消されなければ状況はますます悪化しそうだ。さらに半導体の値上げも予想され、その場合には給湯器やトイレ機器自体の価格も値上がりする可能性があるという。様々な懸念材料が存在する中で「給湯器の流通自体は今年の5月くらいを目処に元に戻るのではないか」というのが業界の見込みのようだ。(編集担当:久保田雄城)