2021年7月30日に厚生労働省が発表した令和2年簡易生命表によると、2020年の日本人の平均寿命は、男性が81.64歳、女性が87.74歳。前年に比べ、男性は+0.23歳、女性は+0.29歳で、ともに過去最高を更新している。長生きなのは喜ばしいことである一方、少子化や介護の問題も増加しており、将来に不安を抱える国民も少なくない。また、せっかく長生きしても健康で充実したシニアライフを送れなければ意味がない。
そのためにも、いかに健康を維持できるが重要になる。その解決策の一つが、最先端技術の活用だ。
例えば、住宅メーカーの積水ハウスが提案している「プラットフォームハウス構想」は、先端技術を用いて住まい手のデータを収集し、それを様々なサービスに活用する。同社では「幸せ」を因数分解して、「健康」「つながり」「学び」という3つの軸のサービス提供を目指している。
現在、「健康」については、家庭内で脳卒中などの急性疾患を早期に発見する「HED-Net」というシステムの実証実験を行っている。これは、寝室などの天井に生体センサーを設置し、心拍数や呼吸を非接触で検知し、異状を検知すると、緊急通報センターに自動通知され、救急車の出動を要請するシステムだ。同社では、プラットフォームハウス構想で収集した住まい手のデータを活用したサービスの拡大にむけて着々と準備を進めている。
2022年5月19日には 国立研究開発法人国立循環器病研究センターとの連携協定を締結。積水ハウスが取得する住まい手データ(ライフスタイルデータと住環境データ)と、国立循環器病研究センターが有する循環器病領域に関する豊富な研究実績、知見を最大限活用し、住まい手の健康に寄与するテーマの共同研究につなげるとともに、健康寿命の延伸を目指して、医療や健康づくりに関わる研究、人財交流、地域連携、健康セミナー、啓発活動等について、相互に協力し、双方の発展に尽力するという。
主な連携・協力事項としては、「住宅において発生する急性疾患(心疾患・脳疾患)の早期発見に関すること」「循環器疾患の早期発見・予防に関すること」「生活習慣・住環境やメンタル・ストレスがバイタルに及ぼす影響」「循環器病予防を中心とした健康セミナー、啓発活動、高度循環器ドックなどの活用」を挙げており、研究が進んで住まい手に還元されれば、安全で安心な生活環境の構築と健康寿命の促進も大いに期待できるだろう。
人生100年の時代。最先端のシステムをうまく取り入れながら、70代、80代になっても元気で若々しく、幸せな人生を過ごしたいものだ。(編集担当:藤原伊織)