多様化する「処方薬」受け取り。ファミリーマートが処方薬の店舗受け取りサービスを開始

2022年06月05日 09:07

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ファミリーマートが処方薬を店舗にて無料で受け取れるサービスを東京都内約2400店で展開。調剤薬局に処方せんを直接持ち込む必要がなく、待ち時間なしで24 時間処方薬の受け取りが可能に。

 日本の医療費の特徴として、薬剤費の占める割合が他の先進国と比べ高いことが挙げられる。これまでも医療費膨張の原因として薬漬け医療が問題視され、このことから、医療機関で処方箋が出され、調剤薬局で薬を受け取る、現在の医薬分業のシステムができあがった。門前薬局が多いというものの、ユーザーである患者としては距離の離れた薬局でもう一度待たされることになり、利便性が低下したとも言える。

 そうした中で新型コロナウイルス感染症の流行が起こり、感染リスクの高い病院や薬局から人々の足は遠のいた。また、コロナ禍で日本のオンライン処理などのICT化の遅れが強く意識され、飲食店などでは人と接触せずに商品の注文受け取りができるオンライン、宅配サービスが広がりを見せた。オンライン診療なども話題となったが、処方薬の受け取りでも、人と接触しない受け取りサービスの動きが進み、受け取りBOXを利用した処方薬の受け取りサービスも既に提供されている。

 5月25日にはコンビニエンスストアのファミリーマートが「処方薬を店舗にて無料で受け取れるサービス」を東京都内の約2400店で展開すると発表している。ファミリーマートでは、21年7月から顧客の利便性向上策の1つとして受取BOXを活用した店舗での処方薬受け渡しサービスを東京都と神奈川県の一部店舗で実施してきた。また、ファミリーマートの子会社である「おかぴファーマシー」と凸版印刷は、20年3月30日より処方せん薬宅配サービス「とどくすり」を提供して来たが、今回顧客からの要望にこたえ、両者のサービス利便性を向上させるため「とどくすり」と「ファミマシー」を連携させ、ファミリーマートの店舗にて処方薬を受け取ることができる新たなサービス「ファミマシー」を提供することとした。サービスは5月26日(木)から東京都内の約2400店舗で開始され、送料・手数料無料、該当する店舗で最短翌日に処方薬の受け取りが可能となった。

 ファミリーマートは「新型コロナウイルス感染症の拡大により、お客さまのライフスタイルが変化している中、お薬を受け取る場所や時間についてのニーズも、変化している」と指摘している。調剤薬局業界の再編が唱えられている今、コロナ禍で大きく変化し多様化する顧客のニーズに適応できる薬局のみが生き残れる薬局となりそうだ。調剤薬局各社の取り組みで処方薬の受け取りサービスも今後多様化が進むとみられる。(編集担当:久保田雄城)