安倍時代の対ロ政策、政府として検証を 石破氏

2022年06月07日 06:46

 自民党の石破茂元幹事長は直近のブログ(6月3日)で、安倍晋三内閣時代の経済・財政、外交・安全保障政策を「政府としても検証すべき」と検証を提言した。

 安倍政権の経済・財政、外交・安全保障政策、特に対ロシア政策に対して立憲民主党の野田佳彦元総理が6月1日の衆院予算委員会で岸田文雄総理に見解を質したが、安倍元総理に配慮した答弁に終始。ロシアのウクライナ侵略に対する制裁に関しても、野田氏はロシア経済分野協力担当大臣(萩生田光一経済産業大臣が兼務している)を未だにおいているのは恥ずべきと強く廃止を求めたが、岸田総理は邦人企業擁護を優先し応じなかった。

 野田元総理は3月22日のブログでも「そもそも特定の国との経済協力を担当する大臣を置くこと自体が奇異(設けたのは安倍衆院議員が総理の2016年9月が最初)。加えてウクライナを侵略したロシアに対し、日本も含めて国際社会が厳しい経済・金融制裁を科している時、恥ずべき大臣ポストは廃止すべき」と発信していた。

 野田元総理は「ロシアは3月8日、対ロシア制裁に参加している日本も含む48の国・地域(台湾)を『非友好国』に指定した。それにもかかわらず、岸田総理は大臣ポストの廃止に慎重。安倍元総理への遠慮が煮え切らない対応の原因なのでしょうか」とも皮肉った。そのうえで「対シロア外交はリセットが必要」と訴えている。

 石破氏は野田元総理の質問に対する岸田総理の答弁に「無難な答弁に終始され、個人的には、安倍政権時代の諸政策について理路整然と語っていただけたらと少し残念でした」と感想を綴っている。

 石破氏「2018年11月のシンガポールにおける日露首脳会談で、日本は従来の姿勢を大きく転換し、歯舞・色丹の二島の引き渡し、という『1956年日ソ共同宣言』を基礎とすることになったが、その後、ロシアは憲法を改正し、領土について一切譲らない旨を明記した。この時点で、本来するべきではなかった日本の譲歩は、ほぼ無意味となってしまったように思われます。この検証もしておかなくては、今後の日ロ外交の基盤が脆弱なものとなりかねません」と危惧し、対ロ外交の検証を求めている。

 またアベノミクスに関しても石破氏は「異次元の金融緩和政策は、これによって物価が上がることを想定し、国民の中で『それなら物価が上がる前にモノを買っておこう』という機運が高まることによって消費が拡大し、デフレが解消されるという考えに基づくものだったと思っています。しかし結局、国民の将来不安を払しょくすることができず、消費は控えられたままでした。今、コロナやウクライナ情勢を受けて金融情勢も相当に変化している中、政府としてもこの検証を行うべきではないかと思います」と検証する必要を訴えている。(編集担当:森高龍二)