「プロポーズ支援事業」などブライダル市場、コロナ禍で新事業展開加速。2桁回復に

2022年06月16日 06:59

画・「プロポーズ支援事業」などブライダル市場、コロナ禍で新事業展開加速。2桁回復に。

矢野経済研究所が「ブライダル市場に関する調査」。2021年の市場規模は前年比117.6%の1兆4945億円と復調

 新型コロナウイルス感染症の流行で三密回避が唱えられ、コロナ禍での結婚式の延期や取りやめを決断したカップルは4組に1組にまで至ったという調査も存在する。厚生労働省が発表したデータでは、2020年の結婚組数は52万5507組で、前年比12.3%の大幅減少となり戦後最少を記録した。こうした動向でブライダル関連業は大きな打撃を受け、20年にはそれまで維持して来た市場規模2兆円台を大きく割り込んだ。

 しかし、21年には挙式披露宴が施行されるようになったことで市場の約半分を占める挙式披露宴・披露パーティ分野が回復に転じ、予測を上回る回復への兆しが見えてきているようだ。さらに、少子化を背景に業界では、コロナ禍前から挙式披露宴事業に代わる事業の柱を構築するべく模索が始まっており、この取り組みがコロナ禍で加速し、今後の回復を底上げする可能性も出てきたようだ。

 6月6日に矢野経済研究所が「ブライダル市場に関する調査(2020年)」の結果レポートを公表しているが、これによれば、21年のブライダル関連市場は前年比117.6%の1兆4945億円と2桁の大幅な復調と推計されている。さらに、22年の予測では前年比109.7%の1兆6400億円と伸びは鈍化するものの2桁に迫る順調な回復となっている。というものの、19年の2兆4171億円には遠く及ばない。

 コロナ禍前より少子化を受け、挙式披露宴の関連企業の多くで、結婚やプロポーズを支援する婚活事業やプロポーズ事業、挙式の替わりとなるフォトウエディング事業など多角化に取り組んできた。こうした事業もコロナの影響を受けたものの、今後の伸びが期待される。しかし「新規事業へ打って出るには、多くの資金や人材も必要であり、人材育成にかかる期間や時間を考慮すると、中長期的な視点も必要である」とレポートは指摘しており、今後はM&Aも含めた業界再編にもつながりそうだ。

 22年は感染も落ち着き、秋シーズンに向けた予約は順調で、コロナ禍とは関係なく少人数を志向する傾向が高まっているものの、単価に直結する招待人数は増加傾向でコロナ禍前に近い水準まで回復するとの期待もあり、レポートは「21年予約済で未施行の挙式(受注残)が順調に施行され、招待客数減少の影響が最小限で推移すれば、予測を上回る前年比2桁台の回復も見込まれる」としている。(編集担当:久保田雄城)