防衛力「5年以内に抜本強化」世界に表明 総理

2022年06月28日 06:38

 岸田文雄総理はG7首脳会合に合わせ、ドイツの日刊紙・フランクフルターアルゲマイネ紙への寄稿文でロシアによるウクライナ侵略で『世界の安全保障観は大きく変容した』とし、ドイツが防衛予算をGDP比2%に引き上げることを表明したことにも触れたうえで「私自身、5年以内に防衛力を抜本的に強化する決意」と総理として、5年以内の抜本強化を世界に表明する形となった。

 岸田総理は「日本は地域、そして世界の平和秩序を守り抜くための外交・安全保障上の役割を一層拡大していく」とし「権威主義国家が、国際法を無視して、他国の領土を侵略する。こうした暴挙を目の当たりにし、世界各国の安全保障観は大きく変容した」との認識を示した。

 そのうえで「ドイツは、防衛予算をGDP比2パーセントに引き上げることを表明し、ロシアの隣国であるフィンランドやスウェーデンは伝統的な中立政策を転換し、NATO加盟申請を表明した」と記述。

 岸田総理は「私自身、ウクライナは明日の東アジアかもしれないという強い危機感の下、対露政策を転換する決断を行った。東アジアの厳しさを増す安全保障環境も踏まえ、本年末までに新たな国家安全保障戦略を策定し、5年以内に防衛力を抜本的に強化する決意」と強い意志を示した。

 また「いずれの国もその国の安全を1か国だけで守ることはできない」とし「私自身、首脳外交を活発に行い、強力に『新時代リアリズム外交』を展開し、外交と安全保障を両輪として動かしていく」としている。

 ただ、岸田総理は防衛力抜本強化のための財源をどこから捻出するのかについては日本記クラブ主催の与野党党首会談で「内容と予算と財源をセットで考える」とするにとどまり、具体的な財源には触れなかった。(編集担当:森高龍二)