コロナ禍の巣ごもり需要の増大で動画コンテンツ視聴の需要も増大した。これと比例するように動画視聴プラットフォームも充実し、この中で動画広告の画質も向上するなどして、広告出稿シェアはweb動画広告へ大きくシフトしているようだ。
7月4日に矢野経済研究所が「動画コンテンツビジネスに関する調査(2022年)」の結果レポートを公表しているが、これによれば、2022年度の動画コンテンツビジネス総市場の規模は前年度比109.3%の8200億円と予測され、成長率は2桁にせまる勢いだ。前年度21年度の推計値は、前年度比108.4%の7500億円であり、21年度、22年度と成長率の幅も拡大し、市場成長は加速しているようだ。
好調の背景として「スマートフォンやタブレットの普及により、場所を問わず動画を視聴できるようになり、利便性が飛躍的に向上している点が挙げられる」とレポートは指摘している。また21年度の拡大の要因としては「動画制作サービスやアニメ制作において、多くの制作会社がテレワークの仕組みを構築したことで、通常通りの制作環境を取り戻したこと」があり、「コロナ禍で停滞・遅延していた制作活動が回復したことで、需要が活発化した」こともあるようだ。また、動画編集ソフトの販売も好調だが、これは「小学生から大学生など学習者向けの動画編集ソフトが人気となり、クリエイターを目指す若者や教育用コンテンツにおける動画編集需要が顕在化した」からとレポートでは分析している。動画配信プラットフォームでは教育系が好調であるが、21年度は教育業界からの引き合いが増加し、具体的にはe-ラーニング目的での学習サイトとの連携や社内研修など教育需要が高まっている模様だ。
近年では、SNSでの動画視聴が可能なプラットフォームが増加傾向であり、タイムライン上の投稿や広告においても従来の静止画からクオリティーの高まった動画広告へシフトしている。また、コロナ禍において対面活動が難しくなったことから、企業広告、販売促進、IR、株主総会などを目的とした動画コンテンツ活用が積極的に行われているようだ。こうした企業の動画コンテンツの積極的活用で、動画コンテンツ制作分野は競争激化の状況にあり、この中で「高品質かつ適正価格のサービスを提供することが、動画制作サービス事業者に求められていく」とレポートは指摘する。こうしたことを背景に動画広告もネットへと大きくシフトして行きそうだ。(編集担当:久保田雄城)