ネット上の誹謗中傷やフェイクニュース拡散問題に対応するための総務省「プラットフォームサービスに関する研究会」が第2次取りまとめ案で「行政からの一定の関与について、速やかに具体化することが必要」とし「プラットフォーム事業者による情報公開と政府のモニタリングによる『共同規制』の導入を前提に検討を進める」としたことに、日本新聞協会は3日、「政府が言論や表現の内容の判断に立ち入る規制は当然避けるべきで、規制対象を拡大することも望ましくない」との意見を発表した。
また「匿名の言論空間の存在が社会に有用な批判や批評を生む側面」を取り上げ「制度設計にあたっては正当な批判を委縮させることのないよう慎重に検討するように」と求めている。
日本新聞協会は「違法・有害情報」への対応について「研究会の議論では、政府によるコンテンツ規制は避けるべきといった指摘や削除義務を課すことがプラットフォームの過剰な対応を招きかねないとの懸念が寄せられた」とし「安易な規制導入は表現の自由に悪影響を及ぼす可能性が極めて高い」と警鐘を鳴らした。
そのうえで「ネット空間においても正当な批判・批評と誹謗中傷は区別して考える必要がある。匿名でなされる誹謗中傷が問題を深刻化させている面もある一方、匿名の言論空間の存在が社会に有用な批判や批評を生む側面もある。制度設計にあたっては、正当な批判を委縮させることのないよう慎重に検討するように」と求めた。
「違法・有害情報となる偽情報」について、日本新聞協会は「2次取りまとめ案では行政からの一定の関与を具体的に検討することが必要としているが、違法・有害情報となる偽情報の定義が不明確で、恣意的な運用につながる懸念がある」とし「表現の自由に配慮した制度設計が求められる」としている。
また「アテンション・エコノミーの下では丹念な取材を基に書かれた事実よりも刺激的な偽情報が利益を生み、偽情報の増加を招く実情がある」とも警鐘を鳴らし「コンテンツの価値が正当に評価され、正確で信頼ある情報が流通する必要がある。プラットフォーム事業者の実効性ある取り組みが欠かせない。情報の発信側の責務と情報の流通を担う側の責務がうまくかみ合ってこそ、健全な情報空間の実現につながる。総務省にはこうした点を踏まえ検討を進めてほしい」と求めている。(編集担当:森高龍二)