内閣府有識者会議メンバーも国葬が必要なのか?

2022年08月26日 07:21

 内閣府子供の貧困対策に関する有識者会議メンバーで、山口県出身の末冨芳(すえとみ・かおり)日本大学文理学部教育学科教授は25日、安倍晋三元総理の国葬について「政府から自治体に中途半端な通知をして、学校に半旗・黙祷の判断の丸投げはしないでいただきたいものです。子どもたちへの弔意の強制になります。それがまた国民の分断を引き起こします。多忙な学校も混乱します」とSNSで発信し、弔意の強制になる中途半端な通知を自治体に行わないよう要請した。

 末富氏は「本当に国葬が必要なのか、私も未だ政府の説明に納得がいきません」と理解できないことを明かしたうえで「功罪両面で大きな存在感のあった安倍元総理の国葬の理由は、もっと丁寧な説明が必要」と訴えている。

 また、国葬当日「国葬賛成派と反対派が争う悲しい光景を、子どもたちがニュースで目にするようなことになってほしくありません」としたうえで、(現況では)「残念ながらそれは不可避なのかもしれません」と警鐘を鳴らした。

 政府は3権(司法・立法・行政)の長による協議もなく、国会審議もせず、閣議決定のみで国葬を決めた。このため、反対集会やデモ、自治体に対しての監査請求、経費差し止めの提訴など相次いでいる。

 政府は「国葬儀に関して、権利や義務は生じない。国民1人1人に喪に服することを求めるものではないことから、国葬儀は行政権の裁量でできるものだと理解している」と主張。

 喪に服することを求めないことを担保するためにも、末富氏が求めるように「政府から自治体に中途半端な通知をし、学校に半旗・黙祷の判断の丸投げを」しないことが求められよう。(編集担当:森高龍二)

 葬儀費用についても、歴代総理の追悼に照らしても、全額公費、半額公費をするなど、時の政府の裁量で自由に判断されることには大きな問題がある。

 政府側は今月23日の野党によるヒアリングで、全国民が国葬に反対しても、内閣が閣議決定したら、税金を使って、国葬するのか、との問いに「内閣として閣議決定すれば行うことになる」と全国民反対でも閣議決定を覆さない限り、全国民の意思に反しても、行うことになると驚きの答弁を行っている。(編集担当:森高龍二)