加工食品、外食回復、値上げで市場拡大。健康食品などが好調

2022年09月27日 07:59

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矢野経済研究所が「国内の加工食品市場」を調査。21年度の市場は前年度比99.6%と縮小

 国内の加工食品市場は2020年からの新型コロナ感染症流行の影響で外食向け、屋外用、お土産用が不調となり、20年度、21年度と前年割れとなっている。22年からは外食産業が回復傾向にあることに加え、食品価格の値上げが進んでおり、加工食品の出荷額は増加に反転する見込みだ。また、高齢化の進行や少人数世帯の増加を背景とする健康食品や高齢者対応食品、個食タイプの商品群が成長要因となり中長期的にも微増傾向で推移すると見込まれている。

 9月20日、矢野経済研究所が「国内加工食品市場に関する調査(2022年)」の結果レポートを公表している。これによれば、21年度の加工食品市場は、メーカー出荷額ベースで前年度比99.6%の29兆7860億円であった。20年度は前年度比97.4%であったので下げ止まり感はあるものの、外食産業が引き続き営業規制等により不調であったことに加え、家庭備蓄用食品の反動減などもあり、21年度はほぼ横ばいの微減にとどまった。22年以降は、外食産業向けが回復傾向にあることに加え、食品価格が値上がりしていることもあり、出荷額ベースの市場規模は拡大傾向で推移すると見込まれ、22年度の出荷額は前年度比101.5%の30兆2422億円と予測されている。

 今後の成長要因としては、高齢化社会の進展や少人数世帯の増加を背景に、健康食品や高齢者対応食品、個食タイプの商品群、また簡便志向が強まる中で調理済の調理食品などが中長期的に伸びると予測されている。飲料では豆乳や日本茶飲料、野菜飲料、ドリンクヨーグルトなど健康を消費者がイメージしやすいカテゴリーの拡大が続いているようだ。チーズは健康機能が再認識され伸長。納豆は「健康食」として認知が高まり需要が拡大。油脂類ではごま油が健康志向により好調となっている。低カロリー甘味料は糖質オフ・ゼロがトレンドとなっており好調のようだ。漬物市場は免疫力増強に良いとされ、コロナ禍前より好調。また、健康や美容、身体づくり、免疫力の増進、高齢者が陥りやすいフレイル・サルコペニア対策としてタンパク質を摂取する動きが活発となっているようだ。

 こうした健康に良いとされる食品の需要拡大を成長要因にして、26年度の加工食品市場は31兆984億円まで拡大するとレポートは予測している。(編集担当:久保田雄城)