日本経済団体連合会の元会長・榊原定征氏が会長を務める「財政制度等審議会」は29日、来年度予算編成などに関する建議を鈴木俊一財務大臣に行った。この中で公立小中学校の「教職員定数」について「平成以降、様々な定数改善措置を講じてきた結果、児童生徒数の減少ほど教職員定数は減少しておらず、教員1人当たりの児童生徒数は既に主要先進国の平均を下回り、経年で比較しても大きく減少している」として「量の拡充には慎重に対応していく必要がある」とした。
一方で、働き方改革の実効性に疑問を提起。「教員には時間外勤務手当を支給しない代わりに教職調整額が支給されていること、給与負担者(都道府県・国)と服務監督者(市 町村)が同一でないことから民間企業のように働き方改革へのインセンティブがわきにくい構造となっている」とし「働き方改革に関する一定の補助事業について、学校毎の働き方改革の取組みの公表を要件とすること等により、市町村の働き方改革のインセンティブを高めていくことが重要」とした。
また「都道府県が主導して、勤務時間外の教職員対応は原則として行わない旨を地域や保護者に周知し、協力を求めるなど、教員に過度な負担を負わせないための環境作りを併せて進めていくべき」としている。
また「教育の質確保に能力の高い人材が教育現場に参画することが不可欠」とし「官と民との間で人材が流動的に行き来する仕組みを導入するなど、免許制度や採用方法について新たな仕組みを検討すべき」としている。(編集担当:森高龍二)