北朝鮮など朝鮮半島の安全保障戦略などで連携を強める日米韓3か国だが、日本政府が「敵基地攻撃能力(反撃能力)」保有を含む新たな国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の3文書を閣議決定したことに、韓国大統領府は19日「朝鮮半島の安全保障や韓国の国益に直結する重大事案には当然、事前の緊密な協議や我々の同意が必要だ」と発信した。聯合ニュースは韓国内・野党への姿勢も背景にある発言としている。
韓国大統領室は19日の記者会見で日本政府が敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を国家安全保障戦略など安保関連3文書に盛り込み、閣議決定したことに対し「国内で多くの懸念があることを承知している」とし「朝鮮半島の安全保障や韓国の国益に直結する重大事案には当然、事前の緊密な協議や我々の同意が必要だ」とした。
韓国・聯合ニュースはこの発言の背景について「有事の際の日本の動向に対する懸念が国内で再燃していること」や最大野党の「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は関係改善を口実に、日本への低姿勢屈従外交に乗り出したが、もたらされたのは韓国の領土主権の否定と朝鮮半島を戦争に追い込む恐れがあるという脅しだけと非難」し「日本政府に安保関連3文書の手直しを要求するよう求めていることがある」と伝えている。
岸田文雄総理は16日の記者会見で「安保関連3文書には、反撃能力の保有の記載があり、国内外にこれが専守防衛政策の転換点になるのではないかとの懸念があります。今後、状況によってはそれがなし崩しになる可能性もあるのではないかと思います」と記者団から問われた。
これに岸田総理は「保有を決定した反撃能力については定義やどのような場合に行使し得るかを含め、国家安全保障戦略に詳細に書かせていただいているが、専守防衛は相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、対応も自衛のための必要最小限にとどめ、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢というものであり、これは今後も変わらないと考えている。丁寧に説明をしていく」と周辺国にも理解を求めて行く考えを強調していた。(編集担当:森高龍二)