政府は防衛装備移転を促進する基金を創設するとし、来年度予算案に400億円を計上している。浜田靖一防衛大臣は「装備移転は我が国にとって望ましい安全保障環境を創出する目的のために重要な政策手段だ」と強調した。また「防衛産業の維持・強化に効果的と考えている」とした。
浜田大臣は「装備移転に当たっては我が国の装備品に用いられている先進的な技術の流出を防止する観点から、装備品の仕様等の調整を求める場合もあり、安全保障上の観点から講じられる措置だ。我が国の安全保障上の事由によるコストを企業に過度に負担させることは適当でない」などと説明した。
また撤退する防衛産業の生産基盤がやむを得ない場合に国が取得すること、装備品等機密を新たに指定し、その漏洩に罰則を設けるなどを盛り込んだ防衛基盤強化法案の今国会での成立を目指す理由について、浜田大臣は10日の記者会見で「自衛隊の任務遂行に必要な装備品の製造等を担う防衛産業はまさに防衛力そのもの」と強調した。
一方で「装備品等のサプライチェーンについては事業撤退や外国への依存に伴い、安定的供給が脅かされるリスク、サイバーセキュリティのリスクなど様々な課題が顕在化している」と述べ「防衛省が装備品等の適確な調達を行うためには防衛生産・技術基盤の維持・強化が一層重要で、企業の声も踏まえ関係省庁とも議論し、防衛産業による装備品等の安定的な製造等を確保する法律案を提出することとした」と必要性をアピールした。(編集担当:森高龍二)