【コラム】立憲は政権交代を口にする前に基盤を地方で作れ

2023年02月26日 10:44

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立憲民主党の泉健太代表が党大会で「心を一つに、政権交代を目指していきましょう」と呼び掛けた。支持率一桁と低迷を続ける党が政権交代を口にするのであれば、そのための基盤を地方でつくれ!と言いたい

 立憲民主党の泉健太代表が党大会で「心を一つに、政権交代を目指していきましょう」と呼び掛けた。支持率一桁と低迷を続ける党が政権交代を口にするのであれば、そのための基盤を地方でつくれ!と言いたい。

 国民が政権交代に期待を持てるだけの地方基盤から程遠い中、裏付けの実態のない心意気だけの発言は『腹立たしい限り』でしかない。全国の地方基盤の脆弱な実態をもっと冷静に見ることから始めるべきだ。

 日本維新の会の馬場伸幸代表は統一地方選で自治体議員数600議席確保を目指すと明言している。すでに立候補者は700近い数字になっている、という。泉代表は党公認、推薦で何人擁立できているのか。お寒い状況ではないのか。

 少なくとも、前代表の枝野幸男氏の言葉には発信力とそれに伴う行動力、牽引力が感じ取れた。それが感じ取れないのは寂しい限り。代表就任から地方での基盤づくりにどれほどのリーダーシップを発揮してきたのか伺いたい気がする。

 一昨年10月の衆院選ではいじれも比例区で復活してはいるものの、神奈川3区で甘利明氏元経済再生担当相を落選させ、東京5区で若宮健嗣元万博相、千葉8区で桜田義孝元五輪相を落選させた。東京8区では石原伸晃元幹事長を落選させ、復活もならなかった。野党共闘によって62選挙区で野党統一候補が議席を得、32選挙区で惜敗したものの、1万票以内の僅差で接戦を演じた。立憲は与党候補に接戦状態で善戦しながらも、結果的に議席獲得できず惨敗。その際「今回の結果を一里塚とし、深化させる」と幹部は取組みを深化させる決意を述べていた。そして枝野氏は選挙結果の責任を取り代表を降りたが、参院選が終わるまで降りるべきではなかった。

 枝野氏の引責辞任に伴い、11月には泉氏が新代表に選出され、昨年7月の参院選に臨んだ。比例代表は7議席維持も、得票数は日本維新の会にも負け、選挙区で6議席減、まさに惨敗に終わった。泉氏は執行部のメンバーをかえたが、自らは続投している。

 今回、この統一地方選でどれだけ地方議会に立憲議員を送れるかが問われることになる。泉代表が統一地方選にどれだけ組織づくりを行うことができてきたのかが如実に示されるだろう。地域に根を張る地方議員を育てることこそ「政権交代を目指しましょう」と言っても実感のある言葉になる。

 すそ野を広げ、足腰を鍛えなければ「政権交代」などあり得ないと自覚すべきだ。国政選挙は永田町だけでやっているのではない。衆院選挙となれば、地方議員、地方組織がいかに日常的に政治活動・政党活動を展開し有権者と手をつないでいるかが大きい。

 現況を見るに地方に行けば行くほど、立憲地盤の弱さが見える。市議会レベルでもほとんど議員がいない。今回の統一地方選でも自民の強さと維新の候補擁立数の多さのみが顕著だ。

 自民も保守、維新はさらに保守、参政党も含め「保守」色が強い。中道からリベラル、革新支持層は選挙区によっては候補者選びの機会さえ与えられない可能性が出ている。筆者のエリアでは2月下旬というのに、県議選で自民、維新以外に名さえ挙がっていない。

 その責任は野党第1党の「立憲」にあると言わざるを得ない。独自候補も都道府県レベルの議会選挙の全選挙区に出せない状態にあることを泉代表や執行部は猛省し、対策を講じるべきだろう。加えて次期、総選挙に備えた動きを加速すべきだ。政治バランスのためにあえて苦言を呈したい。(編集担当:森高龍二)