有機フッ素化合物の汚染源の特定を急ぐよう要請

2023年05月31日 06:06

 有機フッ素化合物による地下水や水道水への汚染問題が29日の衆議院決算行政監視委員会で取り上げられ、西村明宏環境大臣は「自治体や地元住民から不安や対策を求める声があがっており、1月に二つの専門家会議を設置し科学的見地から議論頂いている。結果を踏まえた取組みをしっかり考えていきたい」と答弁した。

 立憲民主党の大河原まさこ議員に答えた。大河原氏は「沖縄や東京多摩地区に限らず全国的な問題だ」とし「有機フッ素化合物汚染は未だ汚染源が特定もされず、有効な対策もないままに市民の不安はつのるばかり。一刻も早く、汚染源の特定を」と早急な対応を求めた。

 大河原氏は「沖縄県では2016年1月県民に水道水を供給している北谷浄水場で米軍嘉手納基地から出たとみられる高濃度のPFOSが検出され、その後も米軍基地周辺の河川や湧き水、土壌からPFOS検出のニュースが後を絶たない。東京多摩地域の地下水汚染も横田基地が汚染源の一つと考えられ、厚木基地や横須賀基地でも同様の問題が発生しています。しかしいずれも汚染源の特定には至っておらず、その影響は計り知れない」と問題提起した。

 政府側は水道のPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)およびPFOA(ペルフルオロオクタン酸)については2020年4月から水質管理目標設定項目に位置付け、PFOSとPFOAの合算値で水道水1リットル当たり50ナノグラム以下とする目標値を設定している。20年度の調査結果で全国589地点のうち5地点で目標値を超えていた。現時点では範囲内に収まっていることを確認しているとした。

神奈川県環境農政局環境部大気水質課はHPのQ&A回答で「PFOAについてはヒトにおいて皮膚に付着すると発赤、痛みを、眼に入るとかすみ眼を、吸入すると咳や咽頭痛を、経口摂取すると腹痛や吐き気、嘔吐を生じるといった症状が報告されています」と紹介している。

水道水1リットル当たり50ナノグラム以下とする目標値については「体重50kgの人が1日当たり2リットルの水を一生涯摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと考えられる値」としている。(編集担当:森高龍二)