【コラム】2023年1月~6月(23年上半期)車名別新車販売を見ると…アルファード&ヴェルファイアの今後は?

2023年07月25日 07:10

TOYOTA ALPHARD

6月21日に発表された新型アルファード 写真はグレード“Z”(2WD) ピュアガソリンエンジン仕様の最下位グレードながら価格は540.0万円

 2023年4月から6月の年度第1四半期、国産乗用車に目新しい、そして話題性があり、目新しさがある新型車は無かった。こんなことは、国産自動車界において極めて稀なことで、たいがい注目すべき新型車が毎月登場して、国内自動車メディアは、あえて特集を組む必要もなく,新車&新技術情報を掘り下げ、解説することで成立していた。

 日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が、この7月上旬に公表した表で示した2023年上半期(2023年1月〜6月)の車名別新車販売台数ランキングを見ても、表に示したとおり、目新しい新型車の名は無い。2023年上半期の乗用車首位は、登録車がトヨタのグローバルコンパクト「ヤリス」、軽自動車首位がホンダのスーパートールワゴン「N-BOX」だ。

登録車でトヨタ勢の強さが圧倒的なだけで、ランキングに名を連ねたモデルは、2022年暦年通期の記録と大きく変わらない。

■登録車 2023年上半期・車名別新車販売ランキング(カッコ内は前年同期比)
 1)トヨタ・ヤリス     9万7421台(119.4%)
 2)トヨタ・カローラ    8万2374台(116%)
 3)トヨタ・シエンタ    6万7344台(260.4%)
 4)日産ノート       5万8095台(102%)
 5)トヨタ・ノア      5万0489台(213.6%)
 6)トヨタ・プリウス    4万8835台(265.5%)
 7)トヨタ・ヴォクシー   4万8669台(215.3%)
 8)トヨタ・アクア     4万6458台(136.1%)
 9)トヨタ・ルーミー    4万5 814台(69.9%)
 10)トヨタ・ハリアー    4万3997台(197.7%)

■軽自動車 2023年上半期・車名別新車販売ランキング(同)
 1)ホンダN-BOX     11万2248台(108.0%)
 2)ダイハツ・タント    8万0085台(181.2%)
 3)ダイハツ・ムーヴ    6万2091台(146.1%)
 4)スズキ・スペーシア   6万0075台(126.0%)
 5)スズキ・ワゴンR    3万8011台(95.7%)
 6)日産ルークス      3万7920台(101.5%)
 7)スズキ・アルト     3万6681台(108.6%)
 8)スズキ・ハスラー    3万4157台(99.4%)
 9)ダイハツ・ミラ     3万2399台(93.2%)
 10)ダイハツ・タフト    2万8226台(98.3%)

 そんななか、ランキングトップ10には現れていないが、存在感を示したのが、トヨタ・アルファード&ヴェルファイアだろう。アルファードは2万4560台登録車半期販売18位。そのアルファードは6月21日にフルチェンジしているので、この数字はモデル末期の旧型が記録して数字だ、旧型は、国産の人気ミニバンシリーズのなかで、高額・高級車にもかかわらず、ミニバンとしてトップセールスを何度も記録する特異な存在だった。

 そこで今回の新型、ミニバンとしての王道、ファミリーカー需要に加え、もうひとつのターゲットを或る意味で明確にした。コンペティターは、やはりトヨタ車で、何と今年中にデビューするクラウン・セダン、あるいは公用車の頂点センチュリー、または噂の域を出ないが、まもなく登場するとされる、そのセンチュリーSUV版を想定しているようだ。

 つまり、4月に上海で公開した車台を共有するとされるLEXUS初のミニバン「LM」と共に、首相官邸に駐車するクルマがクラウンに代表されるトヨタ車に、ほぼ独占されている国産高級ショーファーカーの一翼を担うモデルを狙う。いずれも全長5m超、トヨタ車ヒエラルキーの頂点に立つ、ショーファードリブン用途を想定したモデルである。

 皮肉だが、6月初めに世界初公開したクラスレスを標榜するコンパクトSUV、LEXUS「LBX」とコンセプトが真逆のクルマである。

 トヨタ車ヒエラルキーの頂点に君臨するその価格は、“最安値”は「Z」グレードの540.0万円。そこから最上位アルファードが872.0万円、ヴェルファイアが655.0万円~892.0万円。ほぼ同じパワーユニットを積むクラウンとほぼ同等だ。先代と比べると200万円以上の上昇だ。

 従来、トヨタ・アルファードとヴェルファイアは同一のパワーユニットを搭載し、装備やデザインなどで若干の差を設けたモデルであった。しかし、新型は異なるパワーユニットを搭載し大きな差を設けるという手法を打ち出した。

 アルファード&ヴェルファイア両車に共通で搭載されるハイブリッドユニットは従来型に採用された2AR-FXE型から、A25A-FXS型へと変更した。排気量は2487ccでレイアウトは直列4気筒DOHC16バルブ。最高出力は140kW(190ps)/6000rpm、最大トルクは236Nm(24.1kgm)/4300~4500prmだ。組み合わせるモーターはフロントが、134kW(182ps)、270Nm(27.5kgm)を発生。リヤモーターが最高出力は40kW(54ps)、最大トルクは121Nm(12.3kgm)。システム綜合出力は250psとなる。新型のほうが出力で53ps、トルクで64Nm高められている。

 アルファードが搭載するガソリンエンジン仕様は、従来型で採用されていたものと同一の直列4気筒DOHC、排気量は2493cc。最大出力は134kW(182ps)/6000rpm、最大トルクは235Nm(24.0kgm)/4100rpm。出力&トルクスペックは従来型と同一だ。

 今回、ヴェルファイアだけに積むT24A-FTS型ターボエンジンは、クラウン・クロスオーバー』、レクサスNXにも搭載されているユニットだ。排気量2393ccから最高出力205kW(279ps)/6000prm、最大トルク430Nm(43.8kgm)/1700~3600rpmを発揮。

 組み合わせるミッションはハイブリッドがTHSの電気式無段階変速(CVT)、アルファードの自然吸気エンジンは金属ベルト式(機械式)のスーパーCVT-iと呼ばれる無段階変速、ヴェルファイアのターボエンジンはダイレクトシフト8ATという名の有段型8速ATをそれぞれ搭載している。

 さて、この新型アルファード&ヴェルファイア、噂でしかないが、販売開始早々に受注を打ち切ったともされる、7月以降の販売数字がどんな動きをするか注目したい。(編集担当:吉田恒)