42年連続で更新し続ける少子化。社会全体で子どもを育てる意識を高める活動

2023年11月19日 07:29

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総務省の発表によると、2023年4月1日現在、日本の15歳未満の子どもの数は1435万人で、前年よりも約30万人減少、42年連続で最少記録を更新している

総務省の発表によると、2023年4月1日現在、日本の15歳未満の子どもの数は1435万人で、前年よりも約30万人減少、42年連続で最少記録を更新している。また総人口に占める子どもの割合は11.5%となっており、こちらも49年連続で減少し続けている。しかも、この子どもの割合は世界的にみても日本が最も少なく、このまま少子化が進んでいくと国家の存亡にも関わってくるだろう。少子化対策を早急に充実していくことが必要だ。

 出生率の低下を食い止めることも大きな課題だが、そのためにも、安心して子育てができる環境の整備や、今の子どもたちが心身ともに健やかに成長できる社会体制の充実も重要だ。

 日本政府も「異次元の少子化対策」の一環として、4月には「こども家庭庁」を発足し、少子化担当大臣のもとで行われた有識者会議などを経て、6月には児童手当の拡充や高等教育費の負担軽減策などの施策から成る「こども未来戦略方針」をとりまとめている。しかし、金銭的な支援策だけでは十分な少子化対策とは言い難いのではないだろうか。財源に関しても不明瞭な点が散見され、出産や子育ての補助や援助を拡充したために国民負担が増える可能性も否定できない。

 子育て世帯への支援もさることながら、子育ての基本となる家庭や社会生活をもっと豊かにすることも考えていくべきだろう。家庭や学校だけではなく、日本の社会全体で子どもたちを育てていくという雰囲気づくりをしていくことが、結果的に少子化対策に大きく影響してくるのではないだろうか。

 そんな中、子ども向けの社会貢献活動に力を入れる民間の企業も増えてきている。

 例えば、パナソニックグループでは、「パナソニックキッズスクール」というWEBサイトを特設し、同社の強みやリソースを活かした多彩なプログラムを提供している。自宅で出来る実験や工作、ゲーム感覚で楽しく学べるコンテンツなどが豊富に揃っていて、完成度の高いサイトだ。同社では他にも、中学生を対象としたキャリア教育プログラム「私の行き方発見プログラム」や同社社員による出前授業を学年ニーズに合わせて無償で提供しているなど、子ども向けの教育プログラムに積極的に取り組んでいる。

 山田養蜂場では毎年、「自然環境の大切さ」「助け合うことの大切さ」「いのちの大切さ」をテーマにして、ミツバチを描いた一枚画を国内外から募集する「ミツバチの一枚画コンクール」を実施している。第11回となる今年度は、日本を含む13の国と地域から計21086点の作品応募があったほどの盛況ぶりで、その中から入賞作品71点が選出されている。また、10月28日には入選以上の受賞者やその家族など総勢56名が招待されて表彰式が執り行われた。本人だけでなく、家族も一緒に参加することで、親にとっても今後の大きな励みにもなるのではないだろうか。

 また、ソフトバンクでは、子育てに関する情報配信や発達課題の早期発見をサポートし、子育て支援を行うウェブアプリ「デジタルこども手帳『てくてく』を展開している。同アプリは小さな子どもがいる保護者と自治体の架け橋となるスマホ用のウェブアプリだ。各自治体では子育てに関する情報や相談会などの施策を行っているものの、共働き世帯などではどうしても情報を探す余裕がなかったりする。同アプリは、そんな子育て世代の情報格差を解消し、保護者を孤立化させないことを目指して、利用者の地域で発信される子育ての情報を分かりやすく集約して提供している。

 企業によって、子ども向けのCSR活動の内容や形態も様々だが、こういった取り組みが少しずつ認知されるようになってきて、活用する人も増えているようだ。日本の社会全体で子どもを育てていくという意識が高まり、少子化に歯止めがかかることを期待したい。(編集担当:今井慎太郎)