1994年度から95年度にかけ自動車安全特別会計の自賠責保険料の積立金など約1兆円が一般会計に繰り入れられ、今も約5900億円が繰り入れ状態のままになっている問題で、斎藤鉄夫国土交通大臣は5日の記者会見で「一般会計からの繰戻しは極めて重要と認識している」とし「2023年度補正予算で13億円、23年度当初予算の60億円と合わせ73億円の繰戻しを実現したが、まだまだたくさん残っている」と今後も繰戻しに取組んでいくと強調した。
斎藤大臣は「24年度予算要求において、21年12月の財務大臣との合意を踏まえつつ、更なる増額を図るため予算要求を行っている。引き続き、財務省に対して全額の繰戻しに向け、着実な繰戻しをしっかり求めていきたい」と語った。
斎藤大臣は4日、自動車損害賠償保障制度を考える会(座長・福田弥夫日大危機管理学部教授)から繰戻額の増額や早期の全額返済に向けた取組み強化へ陳情を受けた。このことについて斎藤大臣は「自動車損害賠償保障制度を考える会の皆さまとお会いし、自動車事故被害者の御家族の方から直接話を伺いました。改めて被害者や御家族が安心して生活できる社会の実現に向けて被害者救済事業をしっかり継続していかなければならないとの思いを持ちました。引き続き財務省に対し、全額の繰戻しに向け着実な繰戻しをしっかりと求めていきたい」と語った。自賠責保険料は運用益により事故被害者救済や事故防止事業を行う原資になっている。
積立金はひき逃げや無保険車による被害者救済、重度後遺障害者の介護料支援などのために使われているほか、事故防止対策、車両の安全性能向上のための衝突試験などに充当されている。(編集担当:森高龍二)