日産自動車の横須賀・追浜工場 東京湾に面し、1961年に操業を開始した 総合研究所、試験場、専用埠頭を内包する本社工場とでも言うべき歴史ある施設だ 「e-Power」を搭載するコンパクトHB車「ノート」を生産している
日産自動車が経営再建・合理化策の一環として、主力の完成車工場である神奈川県の横須賀・追浜工場と、子会社で商用車を生産する「日産車体」神奈川平塚・湘南工場の閉鎖を検討している、との報道が相次いだ。
この件について日産は「弊社からの正式な発表ではない。臆測に基づくもので当社から発表した情報ではない」とのコメントを伝えているだけだ。この神奈川のふたつの工場の生産能力は合わせて国内生産の約3割に当たる。販売不振で過剰となっている完成車生産体制を見直し、コストを削減、業績改善につなげたい考えだ。
ただし、労働組合やサプライヤー各社、自治体などと調整は行なっていないため、実現するかどうかは不透明だ。
日産は世界で完成車工場を7カ所減らし、2027年度にかけて国内も含めてグループ従業員の人員を削減する合理化策を発表。生産能力を中国は除き世界で約30%削減したいようだ。大規模な合理化で過剰設備と人員を適正化し、業績の立て直しを急ぎたい考えだ。これに伴い国内も含めてグループ従業員の約15%に当たる2万人を削減するとしていた。
日産は国内に五つの車両工場がある。追浜工場は東京湾に面した神奈川県横須賀市の地で1961年に操業を始めた日本初の本格的乗用車工場。敷地約170万平方メートル、従業員約4800名の工場で、生産ラインに最先端の自動化を導入、環境への配慮でも注目を集めている。日産を代表するマザー工場といえる施設で、電気自動車をはじめ先進運転技術を搭載したクルマをいち早く生産してきた。日産自慢のパワーユニット「e-Power」を搭載するコンパクトHB車「ノート」を生産している。生産能力は年約24万台。
日産車体の湘南工場は商用車生産が中心で、コマーシャルバン「NV200バネット」をメインに生産している。生産能力は年15万台で、従業員は約1200人。(編集担当:吉田恒)