1年前倒しし国内6拠点に長距離ミサイル配備

2025年09月07日 09:56

 防衛省は国内6拠点に1年前倒しで長距離ミサイルを配備する。敵基地攻撃能力保有を決めたことの具体化で、配備先地域は有事の際に攻撃対象になることは否定できない。有事では飛行場やミサイル基地、弾薬庫など速攻・継戦能力喪失を狙うのが常識だから。

 中谷元防衛大臣はこれまでの記者会見で「侵攻する敵の艦艇、上陸部隊を早期かつ遠方で阻止、排除することが可能なスタンド・オフ防衛能力を迅速に構築する」とし「国産のスタンド・オフ・ミサイル開発、配備の進捗を示したことは我が国を守り抜くという強固な意思と能力を示すもの。スタンド・オフ・ミサイルの配備は相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力を高めるものであり、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができる」と抑止力を高めるためのものと強調した。

 配備先の地元住民への説明については「配備先関係自治体に対し既に説明しているが、地元の皆様に対する丁寧な説明、適切な情報提供にしっかり努めていくことが大変重要と考えており、引き続き、適切に対応していく」と記者団に語った。

 防衛省は射程1000キロとされる地発型12式地対艦誘導弾能力向上型を今年度と来年度に熊本県の健軍駐屯地・第5地対艦ミサイル連隊に、27年度には静岡県の富士駐屯地・特科教導隊に配備する計画。

 また27年度に12式地対艦誘導弾能力向上型の艦発型を改修後の護衛艦「てるづき」で、空発型を茨城県の百里基地に配備予定のF-2能力向上型で運用する計画。加えて、変則軌道で長距離を飛翔する島嶼防衛用高速滑空弾を27年度に富士駐屯地特科教導隊に配備、実践的な運用開始を行う予定。28年度には北海道の上富良野駐屯地や宮崎県のえびの駐屯地に島嶼防衛用高速滑空弾を運用する部隊を新編し配備予定としている。

 長距離ミサイル配備ではすでに今年度から長崎県の海自佐世保基地が母港のイージス艦「ちょうかい」で射程距離1600キロのトマホークの運用が始まる。抑止力強化を理由とした敵基地攻撃能力保有の為とする長距離ミサイル配備は『専守防衛のための必要最小限の戦力』の視点に則するものなのか、アメリカの東アジア戦略に組み込まれたものになっていないか、憲法に照らし、独立国として絶えず検証しながら進める必要がある。(編集担当:森高龍二)