木原稔官房長官が13日の記者会見で、自衛隊の現在の16階級の呼称を『軍隊呼称』と同じ名称に変更する検討を「スピード感を持って進める」と明らかにした。軍事専門家は「英語の呼称は何も変わらないのに」と疑問符をつける。
SNSでは「諸外国の軍隊に準拠した呼称にして得られるのは戦争へと突き進む国に変わるというメッセージでしかない」と危惧する意見もある。英語呼称で変わらないところを日本はあえて『軍事色を出さないために』現行の呼称に工夫したはず。その呼称変更は、国民はもちろん周辺諸国にも影響をもたらしそう。
木原官房長官は「自衛隊が高い士気と誇りを持って任務にあたることができる環境を整備する必要がある」と呼称変更が士気につながるとする。「軍隊意識」をもたらすことが国民の自衛隊への理解促進や自衛官の士気高揚につながるとみている。「来年度中の自衛隊法改正を目指す」方針という。
自衛隊は自衛のための実力組織ではあるが「軍隊ではない」。SNSでは「階級の呼称を外国軍隊に合わせる必要がどこにあるのか」。「合わせない事こそが、憲法にそった階級呼称といえよう」「階級や部隊名を変えるだけでもものすごいお金が動きます。その予算、営内や官舎の環境整備や処遇改善にして欲しいです」
「国民の意識を変える、慣れさせる手段なのだろう。あるいは自衛隊員の意識を実戦もあり得るリアル感の植付けだろうか。自衛隊員の支給品や官舎の粗末な環境を改善するほうが先」と1万5000人の採用予定に1万人を切る人員確保の難しい現況を踏まえ、呼称変更より処遇改善へエネルギーを費やすべきと疑問や警戒感を示す意見が多い。
自衛隊は現在、将官、佐官、尉官までの幹部級と准尉、曹士の構成になっている。各種報道では統合幕僚長や陸海空の各幕僚長を「大将」それ以外の将は「中将」、佐官の最も高い階級(1佐)は「大佐」と呼ぶなどを検討しているという。
一方で1曹を曹長、2曹を軍曹、3曹を伍長、士長を上等兵、1士を1等兵、2士を2等兵とした場合「曹、士に関して2等兵や1等兵は現場から拒否感が出かねない」などとして「異なる対応を求める声がある」と産経新聞は伝える。
自衛隊を「軍隊」として国民に意識付ける目的か、「国民への精神的な植え付け」が狙いのようにも解される。なぜ「軍隊の階級呼称」にする必要性があるのか、米国のトランプ政権が「軍事を背景に力による平和を確かなものにする」決意を示すため『国防総省を戦争省に』『国防長官を戦争長官』に大統領令を発出したが、この動きに呼応しているよう。
「ヘグセス米国防長官は自らのことを『戦争長官』と、戦士の精神というものを重視している」(小泉進次郎防衛大臣、10月28日記者会見)という。まさに意識付けといえよう。
防衛省はプレスリリースで国防省を戦争省とし、国防長官を戦争長官と記載し提供するようになった。小泉防衛大臣は「公式なやりとり、対外発信、儀礼的場面などにおいて戦争省、戦争長官などの名称を基本的に使用する」とした。
米側から名称使用を推奨する旨の連絡があった、とも説明。日米ともに『軍事的な傾向』を強める状況をどうみるべきか、国民は日本政府の安全保障政策の動向にはこれまで以上に目を向けていくべき時期を迎えているといえよう。(編集担当:森高龍二)













