今回のニュースのポイント
日鉄鉱業の2026年3月期連結決算は、純利益が前年比55.6%増の140億円となりました。資源事業における石灰石や銅の価格上昇、不動産売却が大幅増益を牽引しました。次期は売上増を見込む一方、不動産売却の反動や投資負担により営業減益を予想。脱炭素や電力インフラ需要を背景に、銅や地熱関連事業への注目が高まっています。
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2026年3月期の業績は、売上高2,097億1,700万円(前期比6.6%増)、営業利益188億2,600万円(同83.5%増)、経常利益202億2,100万円(同76.8%増)となりました。
増益の原動力となったのは主力である資源事業です。鉱石部門では、セメントや鉄鋼、インフラ整備に欠かせない石灰石の販売価格上昇が寄与し、部門営業利益は80億700万円を確保しました。また、金属部門は世界的な電力インフラ整備やEV化を背景とした銅需要の高まりが追い風となりました。チリのアタカマ鉱山の増収に加え、電気銅の国内販売価格上昇、さらには生産コストの減少も相まって、部門営業利益は前期の9億4,500万円から67億4,400万円へと飛躍的に拡大しました。
不動産事業においても、販売用不動産の売却が大きく貢献し、営業利益は前期比97.7%増の33億1,800万円となりました。ただし、この利益は資産売却に伴う一過性の側面が強く、同社の「稼ぐ力」の継続性を評価する上では資源価格や販売数量の動向と切り分けて注視する必要があります。
一方、再生可能エネルギー事業では、国産エネルギーとして注目される地熱部門の増収により、営業利益は同35.3%増の6億4,500万円となりました。脱炭素社会の実現に向け、地熱発電事業への共同調査参入など、将来の収益基盤強化に向けた投資も進めています。
財務面では、設備投資による有形固定資産の増加や、アルケロス鉱山開発プロジェクト等の資金調達に伴う長期借入金の増加により、負債合計が前期末から545億8,200万円増加しました。キャッシュ・フロー面では、営業活動によるキャッシュ・フローが75億8,000万円の収入(前期比101億3,300万円減)にとどまる一方、有形固定資産の取得による投資支出が328億3,400万円に達しました。もっとも、支出増の多くは将来の鉱山開発や設備投資に伴うもので、中長期の生産能力拡大を見据えた先行投資の性格が強いといえます。
2027年3月期の連結業績予想は、LME銅価格550セント/ポンド、為替155円/ドルを前提に、売上高2,325億円、親会社株主に帰属する当期純利益120億円を見込んでいます。売上高は伸長するものの、営業利益は資源価格の変動や不動産売却益の剥落、投資負担の影響により減益となる見通しです。
資源高によるメリットと投資コストの増大をどうバランスさせるかが、次期経営の焦点となります。ただ、業績は銅価格や為替動向に左右されやすく、市況変動リスクには引き続き注意が必要となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













