三菱ケミカル決算、営業益78%減 MMA不振と構造改革費が重荷

2026年05月14日 11:26

今回のニュースのポイント

三菱ケミカルグループの2026年3月期決算は、売上収益3兆7,040億円、親会社所有者帰属利益は前期比73.7%減の118億円となりました。市況変動の大きいMMA事業の不振に加え、コークス・炭素材撤退や人員最適化に伴う一時費用が重なり、大幅な減益となりました。一方、産業ガス事業が過去最高水準の利益を計上し、全体を下支えしています。次期はMMAの市況回復を見込み、親会社所有者帰属利益1,270億円への急回復を計画しています。

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 三菱ケミカルグループが公表した2026年3月期連結決算(IFRS)は、売上収益が3兆7,040億円(前期比6.2%減)、コア営業利益が2,250億円(同1.7%減)、営業利益は301億円(同78.8%減)となりました。税引前利益は7億円まで縮小しましたが、譲渡を完了した田辺三菱製薬(現・田辺ファーマ)等の非継続事業利益の計上により、親会社所有者帰属利益118億円を確保し、黒字を維持しました。

 セグメント別の状況では、MMA&デリバティブズが最大の重荷となりました。売上収益は3,519億円に減少し、15億円のコア営業赤字へ転落。中国の供給過剰に伴うMMAモノマーの市況低下に加え、塗料や接着剤向けの需要も鈍り、採算が大きく悪化しました。また、ベーシックマテリアルズ&ポリマーズも42億円のコア営業赤字を計上。原料安で在庫評価が逆風となったほか、酸化エチレンなどで減損も発生したものの、ポリオレフィンの採算改善や炭素事業のスリム化で、赤字は前年より浅くなりました。

 一方で、スペシャリティマテリアルズはコア営業利益323億円と堅調でした。半導体製造装置向けの高機能エンプラや炭素繊維複合材の販売が伸び、収益を牽引しました。また、産業ガスは売上収益1兆3,525億円、コア営業利益2,007億円と過去最高水準の利益を計上。国内外で需要が軟調ななかでも、徹底した価格マネジメントと海外での買収効果により、増収増益を確保しました。

 財務面では、事業売却代金等により現金及び現金同等物は5,271億円へ増加しました。有利子負債も2兆219億円に減少し、ネットD/Eレシオは0.83と前期から大幅に改善しています。株主還元については、年間配当32円を維持しました。

 2027年3月期の通期予想は、売上収益3兆8,000億円、親会社所有者帰属利益1,270億円を計画しています。ただし、中東情勢の緊迫化による原燃料高騰などのリスクについて、会社側は「現状が続けば、コア営業利益が180億円程度下振れる可能性がある」と試算しており、注視が必要です。

 化学業界では、中国経済の影響を受けやすい汎用石化製品の不振が続くなか、三菱ケミカルは医薬事業の切り離しを完了し、素材ポートフォリオの再構築を急いでいます。今後は、市況変動の大きいMMA事業への依存度を下げ、高機能材と産業ガスを軸とする収益構造へどこまで転換できるかが、中長期の企業価値を左右しそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)