今回のニュースのポイント
日本製鉄の2026年3月期決算は、売上収益10兆632億円、純利益171億円となりました。USスチール買収に伴う連結効果などで売上は10兆円を突破しましたが、中国の過剰生産に伴う国際市況の低迷や、買収に伴う事業再編損などの一過性コストが利益を圧迫しました。2027年3月期は、USスチールのシナジー発現で在庫評価差除きの実力ベース事業利益7,000億円超を掲げ、純利益2,200億円への回復を計画しています。
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日本製鉄が公表した2026年3月期連結決算(IFRS)は、売上収益が10兆632億円(前期比15.7%増)、事業利益が5,141億円(同24.8%減)、営業利益は2,429億円(同55.7%減)となりました。親会社所有者帰属利益は171億円(同95.1%減)にとどまり、世界的な鉄鋼市況の悪化に加え、USスチール買収に伴う事業再編損など一過性コストの計上が重なり、最終利益は大幅に圧縮されました。
利益面で最大の逆風となったのは、中国経済の減速が生んだ需給ギャップです。過剰生産された安価な中国製鋼材が国際市場へ流出し、市況は低迷。国内においても輸入鋼材による圧力が一段と高まっており、会社側は輸入通商対策の重要性を強調しています。主力の製鉄事業の利益が4,399億円(前期比29.1%減)に落ち込む一方、AIサーバー向け材料が堅調だったケミカル&マテリアル事業や、DX需要を取り込んだシステムソリューション事業が増益を確保し、下支えしました。
戦略の柱である海外事業では、2025年6月にUSスチールの買収を完了し、米国・欧州の高級鋼市場へ本格参入を果たしました。すでに100名を超える技術系人材を現地へ派遣しており、自社の操業・品質管理技術の全面移転によるコスト競争力の底上げを急いでいます。また、インドにおいてもハジラ製鉄所の能力拡張に加え、南部での新製鉄所建設計画に着手するなど、成長市場での一貫生産体制を強化しています。
財務面では、大型買収に伴う有利子負債の増加により、総資産は14兆6,605億円へ拡大しました。自己資本比率は37.7%(前期末は49.2%)へ低下したものの、転換社債や協調融資などを通じて買収資金の長期安定化(恒久資金化)を完了させています。株主還元については、株式分割考慮後で年間24円の下限配当を維持しました。
2027年3月期の通期予想は、売上収益11兆円、親会社所有者帰属利益2,200億円を見込んでいます。会社側は中東情勢の緊迫化による原燃料コスト上昇などで、第1四半期に利益を500億円程度押し下げる可能性があると試算しつつも、通期業績予想には現時点で織り込んでいません。
脱炭素投資とグローバル再編が重なる鉄鋼業界において、日本製鉄は「世界No.1」への復権を掲げています。電炉増設や水素還元鉄、Super COURSE50といったGXスチール関連技術の実装も進めており、これを市場でどうマネタイズするかが、中長期の企業価値を左右する鍵となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













