景気一致指数120.6、7月は1.7ポイント上昇 設備投資・小売・輸出が押し上げ、景気の中身を読む

2026年09月07日 14:50

画・輸出減少続く。半導体製造装置のアジア向け4割の減少。自動車関連も2桁減少。

2026年7月の景気一致指数では、投資財出荷や小売、輸出数量などがプラスに寄与した(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

内閣府が7日発表した2026年7月の景気動向指数速報によると、景気の現状を示すCI一致指数は前月から1.7ポイント上昇し120.6となりました。景気の動きに先立つCI先行指数も1.7ポイント上昇の117.9、遅れて動くCI遅行指数も1.6ポイント上昇の113.3となり、3指数がそろって前月を上回りました。ただし、CI(コンポジット・インデックス)の変化幅は複数の構成指標を合成したポイントであり、景気全体が1.7%改善したという意味ではありません。一致指数の構成系列を分解すると、投資財出荷や小売業の商業販売額、輸出数量などが指数を押し上げた一方、耐久消費財出荷や卸売業などはマイナス寄与となっており、力強さの度合いには分野ごとのばらつきが見られます。

本文
 内閣府が発表した2026年7月の景気動向指数(速報)では、景気の現状を表すCI一致指数が前月比1.7ポイント上昇の120.6となりました。一致指数の推移を辿ると、2月(116.6)、3月(117.0)、4月(118.3)、5月(118.3)、6月(118.9)を経て7月まで緩やかな上昇傾向が続いています。移動平均で見ても、足元の基調を示す3カ月後方移動平均が前月から0.77ポイント上昇の119.3、定着度を示す7カ月後方移動平均が0.85ポイント上昇の118.2となり、単月の上昇にとどまらず移動平均の水準も切り上がっています。

 この「1.7ポイント上昇」という数字の実態を理解するためには、一致指数を構成する各採用系列の推移と寄与度を分解して確認する必要があります。

 7月の一致指数に最も大きくプラス寄与したのは、設備投資に関連する「投資財出荷指数(除輸送機械)」でした。前月比5.4%増となり、指数を0.68ポイント押し上げました。次いで、個人消費の側面を表す「商業販売額(小売業)」が0.47ポイントのプラス寄与となったほか、「鉱工業用生産財出荷指数」が0.25ポイント、「輸出数量指数(前月比1.7%増)」が0.22ポイント、「営業利益(全産業)」が0.12ポイントのプラス寄与となっています。設備投資関連の出荷、小売動向、輸出など複数の分野が上昇方向へ寄与したことが、7月の一致指数を押し上げた主要因です。

 一方で、すべての系列がプラス方向へ向かったわけではありません。小売業の商業販売額がプラス寄与した反面、家電や自動車などが含まれる「耐久消費財出荷指数」は前月比0.6%減となり、寄与度はマイナス0.05でした。また、「商業販売額(卸売業)」がマイナス0.05ポイント、「有効求人倍率(除学卒)」がマイナス0.01ポイントの押し下げ要因となっています。小売が堅調さを示したものの耐久消費財出荷が減少している点や、卸売の弱みなどを踏まえると、家計消費や流通全体が均一に改善したと評価することはできません。

 さらに、製造業の生産活動そのものを示す「生産指数(鉱工業)」は前月比0.1%増にとどまり、一致指数への寄与度もプラス0.01と極めて小幅でした。今回の1.7ポイント上昇は、生産指数そのものの大幅な上昇によるものではなく、投資財の出荷や輸出などの押し上げによって形成された構造となっています。

 将来の景気動向を示すとされる「CI先行指数」は、前月比1.7ポイント上昇の117.9となりました。採用系列では「鉱工業用生産財在庫率指数」(寄与度プラス0.89)や前月比19.4%増となった「実質機械受注(製造業)」(同プラス0.62)、「消費者態度指数」(同プラス0.44)、「日経商品指数」(同プラス0.20)などがプラスに寄与しました。一方で、「中小企業売上げ見通しDI」はマイナス0.21ポイントの押し下げ寄与となっています。なお、先行指数は景気変化に先立ちやすい指標を集めて合成したものであり、将来の景気拡大を決定づける予測値ではない点に留意が必要です。

 7月の景気動向指数は、先行指数(117.9)、一致指数(120.6)、遅行指数(113.3)の3指数が揃って前月比で上昇を示しました。しかし、一致指数の中身を見れば、耐久消費財や卸売業、求人関連など弱さの残る系列も併存しています。また、公表された速報値は公表日の3営業日前(9月2日)までに得られたデータに基づいて算出されており、一部の未発表系列については過去データからのトレンド成分を用いて算出されています。今後の速報値の改訂や個別系列のデータ更新によって数値が変化する可能性があります。

 確認できる7月時点の現在地は、設備投資関連の出荷や輸出、小売などが押し上げ要因となった一方で、分野による強弱の差が依然として残されているという状態です。今後の観測点としては、9月29日に予定される7月改訂値や10月7日予定の8月速報において、投資財出荷や輸出のプラス寄与が持続するのか、そして弱みを見せた耐久消費財などの系列に底堅さが出てくるのかが注目されます(内閣府資料参照)。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)