半導体が輸出を押し上げる一方、資源高で輸入も拡大 6月貿易統計が映す日本経済の現在地

2026年07月22日 11:06

画・輸出減少続く。半導体製造装置のアジア向け4割の減少。自動車関連も2桁減少。

コンテナを積載した貨物船。6月の貿易統計では、半導体関連や自動車の輸出が伸びた一方、エネルギー資源などの輸入増により貿易収支は赤字となった。(写真はイメージ)

今回のニュースのポイント

財務省が公表した6月の貿易統計速報は、世界的な半導体需要や米国向け自動車輸出の伸びを背景に、輸出額が前年同月比19.3%増の10兆9,290億円となりました。一方、原油やLNG、石炭といったエネルギー資源の輸入額増加が響き、輸入額も同25.4%増の11兆3,359億円へと拡大し、貿易収支は4,069億円の赤字となりました。先端製造業の輸出が力強さを見せる一方で、エネルギー資源を海外に依存する日本経済の構造が改めて浮き彫りとなっています。

本文
 財務省が22日公表した6月の貿易統計(速報)によると、輸出額は前年同月比19.3%増の10兆9,290億円と前年を大幅に上回りました。しかし、輸入額も同25.4%増の11兆3,359億円と大きく伸びたため、差引となる貿易収支は4,069億円の赤字となりました。前年同月の黒字(1,222億円)からは赤字に転じたものの、輸出入を合わせた貿易の総取引額は22兆2,649億円に達し、内外需要の活発な取引を示す結果となりました。

 今回の輸出増で最も目立ったのは、世界的なAI関連投資などを背景とする半導体分野の旺盛な需要です。品目別では、半導体等電子部品が前年同月比53.8%増(7,304億円)と突出した伸びを記録したほか、半導体等製造装置も同18.7%増(4,601億円)と好調に推移しました。これらが含まれる「電気機器」全体でも同29.4%増(1兆8,975億円)に達しています。地域別でも、半導体関連部材や製造装置の需要が集まるアジア向け輸出が同22.7%増(6兆499億円)、うち中国向けが同17.6%増(1兆8,247億円)と底堅く推移しています。

 日本の基幹産業である自動車の輸出も全体を力強く下支えしました。自動車単体の輸出額は前年同月比23.0%増(1兆8,276億円)に達し、自動車部品(同17.7%増の2,174億円)を含めた輸送用機器全体では同14.4%増(2兆3,835億円)となりました。特に米国向け輸出は全体で同13.0%増(1兆9,281億円)となった中で、自動車単体では同34.5%増(5,639億円)と大幅な伸びを示しました。供給制約の緩和や主要市場での根強い需要が、日本の自動車輸出の回復を力強く後押ししています。

 一方で、貿易収支を押し下げた主な要因が輸入額の急速な膨張です。中でも原油やLNG(液化天然ガス)、石炭を含む「鉱物性燃料」の輸入額は前年同月比42.0%増(2兆1,020億円)と急増しました。品目別には、石炭が同46.8%増(3,047億円)、原油及び粗油が同12.1%増(7,989億円)、LNGが同14.7%増(4,345億円)、石油製品が同32.0%増(2,394億円)となっており、国際的なエネルギー価格の水準や為替動向が輸入負担を重くしている実態がうかがえます。

 今回の貿易統計は、日本経済の構造的な特徴を改めて示しています。AIや半導体、自動車といった高い国際競争力を持つ日本の製造業は、世界的な外需を取り込む強みを十分に発揮しています。しかしその一方で、産業活動や国民生活の土台となるエネルギー資源の多くを海外に頼っているため、資源価格や為替の変動によって貿易収支が容易に揺さぶられる体質に大きな変化はありません。先端需要という追い風を活かしつつ、外生的なエネルギー依存リスクに強い経済基盤をいかに整えていくかが今後の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)