ソフトバンクのデータエコシステム基盤「GaranAI」の概要。コンテンツホルダーから預かった著作物を多段階で加工し、AI開発事業者へ提供するとともに、利用料を権利者へ分配する仕組みを示した。(ソフトバンクのプレスリリースを基に作成)
今回のニュースのポイント
ソフトバンクは、新聞記事や出版物などの著作物を生成AIの開発に活用するデータエコシステム基盤「GaranAI(ガランエーアイ)」のベータ版の提供を2026年7月22日に開始しました。コンテンツホルダーから預かったデータを、元データへの復元が困難な「派生データ」に変換し、さらにAI開発向けの「加工データ」として提供します。データ利用に応じた対価を権利者へ分配することで、信頼性の高い日本語データの不足と著作物の無断利用という二つの課題への対応を目指します。
本文
ソフトバンクは、日本のコンテンツホルダーの権利保護とAI開発事業者によるデータ活用を両立させるデータエコシステム基盤「GaranAI」のベータ版を提供開始し、利用申し込みの受け付けを始めました。ベータ版では、一部のコンテンツホルダーからデータの提供を受け、AI開発事業者による利用検証を行います。検証を通じて機能や品質の向上を図り、2027年1月以降の正式提供を目指します。
GaranAIの特徴は、コンテンツホルダーから預かった著作物の原文をそのままAI開発事業者に提供するのではない点にあります。ソフトバンクは、大意や事実関係を維持しながら表現や構造を変換し、元データへの復元を困難にした「派生データ」を作成します。さらに、派生データをAI開発の用途に合わせた形式へ再構築し、「加工データ」として提供します。ソフトバンクは、著作物の不正利用のリスクを低減しながら、AI開発に適したデータを流通させる仕組みとしています。
特徴の一つが、コンテンツホルダーへの利用料の分配です。GaranAIでは、データ利用事業者による利用状況に応じて、コンテンツホルダーに利用料が分配されます。生成AIの開発をめぐっては、高品質な著作物が無断で学習データに利用されているという懸念が強く、権利者の警戒感が広がっていました。契約と対価の仕組みを導入することで、新聞社や出版社などのコンテンツホルダーにとって、新たな収益機会となる可能性があります。
ベータ版では、共同通信社のほか、産業経済新聞社、毎日新聞社、信濃毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社などがデータ提供を予定しています。従来、報道機関はAIによる著作物の無断利用に警戒を強めていましたが、自らのコンテンツを管理された形でAI開発に提供する動きが始まっています。
AI開発事業者側にとっても利点があります。生成AIの開発では、特に日本の習慣や文化、地域情報や専門領域を正しく理解するための高品質な日本語データの不足が課題とされてきました。報道機関などの信頼性の高いデータを利用できれば、回答精度の向上が期待されます。また、ソフトバンクの専任チームがデータ収集から加工まで一貫して対応することで、AI開発事業者はデータの事前検証や整備にかかるインフラ投資や人件費を抑えられます。
もっとも、この仕組みが持続的な著作物データ流通基盤として定着するには、契約や利用料の透明性に加え、実際に国内外のAI開発事業者に広く利用されることが重要です。日本国内では生成AIの利用が急速に広がる一方、主要なAI基盤モデルの多くは海外企業が開発しています。コンテンツホルダーだけでなく、国内外の主要なAI事業者を巻き込んだデータ流通市場を形成できるかが、正式提供後の成否を左右することになりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













