特殊詐欺、SNS型投資詐欺が被害の4割超 被害1816億円で過去最大

2026年07月31日 10:35

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警察車両。警察庁が公表した2026年上半期の特殊詐欺統計では、SNS型投資詐欺やニセ警察詐欺の被害拡大が目立ち、SNSやインターネットバンキング、暗号資産を悪用する手口の増加が浮き彫りとなりました。

今回のニュースのポイント

警察庁が30日公表した2026年上半期の特殊詐欺統計(暫定値)では、被害総額が過去最悪の1,816.2億円(前年同期比51.7%増)に達しました。SNS型投資詐欺(797.9億円)とニセ警察詐欺(507.9億円)が高額被害を牽引しています。SNS広告やメッセージアプリ、ネットバンキング、暗号資産が悪用されるなど、特殊詐欺は電話中心の手口からデジタル経済のリスクへと構造変化しており、プラットフォームや金融インフラを巻き込んだ官民対策が焦点となります。

本文
 警察庁が30日に公表した2026年上半期(1〜6月)の特殊詐欺の認知・検挙状況(暫定値)によると、被害総額は1,816.2億円(前年同期比51.7%増)となり、上半期として過去最悪を更新しました。認知件数は2万2031件(同18.3%増)に上り、1日当たりの被害額は10.0億円に達しています。警察庁は今年から「ニセ警察詐欺」を独立した手口として位置付けたほか、統計上の整理を見直しました。単なる電話や対面での金銭奪取にとどまらず、デジタル技術や決済インフラを悪用する手口の存在感が高まっています。

 被害拡大の最大の要因となっているのが「SNS型投資詐欺」です。上半期の認知件数は5,893件(前年同期比105.1%増)、被害額は797.9億円(同126.0%増)と倍増し、特殊詐欺全体の被害額の43.9%を占めています。犯行の入口となる当初接触手段としては、SNS上のバナー広告(2,330件)やダイレクトメッセージ(1,698件)が主流となっており、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSや動画共有サービス上の偽広告・投稿から被害者を誘い出し、最終的にLINEなどのメッセージアプリで非対面のまま高額な投資名目で資金を騙し取る手法が定着しています。

 もう一つの大きな脅威が、警察官や官公庁職員になりすます「ニセ警察詐欺」です。上半期の被害額は507.9億円(前年同期比27.3%増)に達し、認知件数(4,466件)は小幅に減ったものの被害の大型化が進んでいます。ニセ警察詐欺の既遂1件当たりの被害額は1,163.9万円、SNS型投資詐欺も1,362.5万円と極めて高額です。資産を多く保有する50代〜70代を中心に、デジタルツールを介した心理誘導で一度に多額の個人資産が奪われる実態が浮き彫りになっています。

 手口の高度化に伴い、資金の移動(交付形態)におけるデジタル化も急速に進んでいます。被害金の送金経路をみると、口座振込型が全体の約6割(1,033.4億円)を占める中、インターネットバンキング(IB)を悪用した振込被害額が745.7億円に達し、振込型被害額の72.2%に上りました。さらに、暗号資産(仮想通貨)を用いた送金や振込による被害も430.5億円(全体の23.7%)に達しています。かつての「現金手交」や「ATM振り込み」から、ネットバンキングや暗号資産といったデジタル決済インフラが悪用される形態へとシフトしており、資金追跡の難易度を高めています。

 今回の統計は、特殊詐欺が単なる社会面の防犯問題を超え、「SNS(広告・メッセージ)」「インターネットバンキング」「暗号資産」という、デジタル経済や決済インフラを悪用するリスクの高まりを示しています。政府は「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に基づき、データ通信専用SIMの本人確認義務化(改正法成立)や警察庁推奨アプリの普及、金融機関によるモニタリング強化などを進めています。今後は、SNSプラットフォーム事業者による偽広告の排除や悪用アカウント停止の迅速化、金融・暗号資産事業者での不正送金検知の高度化など、デジタル経済を構成する民間の主要プレイヤーと警察・規制当局との官民連携が被害防止につながるかが重要な焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)