日本銀行が公表した2026年8月末のマネタリーベースは543兆7652億円と、前月から13兆8066億円減少した。一方、日銀の長期国債保有残高は519兆9277億円と5458億円増加した(画像は日本銀行本店)
今回のニュースのポイント
日本銀行が2026年9月7日に公表した「マネタリーベースと日本銀行の取引」によると、2026年8月末のマネタリーベース末残は543兆7652億円となりました。7月末の557兆5718億円から13兆8066億円減少しています。減少の大部分を占めたのは日銀当座預金で、1カ月で13兆6902億円減少し424兆3220億円となりました。一方で、日銀が保有する長期国債残高は519兆9277億円となり、前月末から5458億円増加しています。金融政策の正常化が進むなか、日銀が供給するマネタリーベースの縮小と、日銀の国債保有残高の動向は必ずしも同じ向きには動いておらず、8月の統計はその違いを示しています。
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日本銀行が2026年9月7日に公表した統計資料「マネタリーベースと日本銀行の取引」は、日銀が供給する通貨(マネタリーベース)の内訳と、日銀が保有する国債などの8月末時点の残高や月中の取引を示しています。
マネタリーベースは、「日本銀行券発行高」「貨幣流通高」「日銀当座預金」の3つの要素で構成され、日銀が直接供給する通貨の量を指します。2026年8月末の内訳を見ると、紙幣である日本銀行券発行高が114兆8673億円、硬貨である貨幣流通高が4兆5759億円、民間金融機関などが日銀に預けている日銀当座預金が424兆3220億円となり、合計で543兆7652億円となりました。数字が示す通り、現在の日本におけるマネタリーベースの大部分は世の中を流通する現金ではなく、金融機関が日銀に設けている当座預金によって占められています。
8月中の変化を確認すると、マネタリーベース全体では7月末の557兆5718億円から13兆8066億円減少しました。その内訳を検証すると、日本銀行券発行高が1134億円減、貨幣流通高が30億円減であったのに対し、日銀当座預金は7月末の438兆122億円から424兆3220億円へと13兆6902億円減少しています。構成上の数字を見ると、8月のマネタリーベース減少額のほぼ全てを日銀当座預金の減少が占めています。
このマネタリーベースの大幅な減少に対し、日銀が保有する資産側の動向を見ると異なる動きが示されています。8月末の長期国債保有残高(買入等)は519兆9277億円となり、7月末の519兆3819億円から5458億円増加しました。6月末の518兆3424億円からの推移を見ても、残高は増加傾向にあります。
同資料のフロー表によると、8月中の長期国債は買入額が2兆3212億円であったのに対し、満期を迎えたことなどによる償還等(減少)は1兆7754億円でした。差し引きで5458億円のプラスとなり、ストック残高の増加と一致します。つまり、8月におけるマネタリーベースの13.8兆円減少は、日銀が保有する国債残高を縮小させた結果として生じたものではないことが分かります。
日銀は2026年6月、長期国債の月間買い入れ予定額について、2026年7〜9月の2.5兆円程度から、10〜12月は2.3兆円程度、2027年1〜3月は2.1兆円程度へ段階的に減らし、2027年4月以降は月2兆円程度とする計画を決定しています。買い入れ額自体は減少方向にあるものの、月末の国債保有残高は買い入れと償還等の差によって単月では増加することもあります。
その他の保有資産のストック残高を見ると、ETF(指数連動型上場投資信託)を信託財産とする金銭の信託は、7月末の37.0099兆円から8月末には36.9835兆円へと264億円減少しました。J-REIT(不動産投資信託)は6516億円から6510億円へ6億円減少、社債等は1兆4396億円から1兆3577億円へ819億円減少しています。
これらの事実を整理すると、8月の動きとして「マネタリーベースは13兆8066億円減少した」「減少額のほぼ全てを日銀当座預金の13兆6902億円減少が占めた」「一方で日銀の長期国債保有残高は5458億円増加した」という3点が客観的に抽出されます。少なくとも8月については、マネタリーベースの縮小と長期国債保有残高の増加が同時に発生し、両者が同じ方向には動かない結果となりました。
金融政策正常化のプロセスを見極める上では、国債の買入予定額だけでなく、実際の買入額、償還額、保有残高の推移、日銀当座預金の変動をそれぞれ独立したデータとして個別に観察していく必要があります。今後、国債買い入れの減額と償還が進む中で、500兆円を超える国債保有残高とマネタリーベースがどのように推移するのか、両者を分けて確認していくことが求められます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













