今回のニュースのポイント
仏Orano傘下のOrano Medは10月2日、フランス北部のオナン(Valenciennes近郊)において、鉛212(Pb-212)を用いた標的α線治療薬の工業規模生産拠点「ATLab Valenciennes」を開所したと発表しました。施設には2900万ユーロが投資され(うち国家投資計画「France 2030」より約380万ユーロの公的支援)、3000平方メートル超の施設で約25人の直接雇用を創出する計画です。鉛212の半減期は10.6時間と短く、製造から患者への投与までを24時間以内に完了させる必要があるため、主要空港まで約2時間という立地を活かして欧州人口の約70%をカバーします。中期的には年間最大1万回分の生産能力を見込み、フル能力時にはその5倍の生産余地があるとしています。
本文
フランスの原子力・素材大手Orano(オラノ)グループの医療事業会社であるOrano Medは10月2日、フランス北部オー=ド=フランス地域圏のオナン(Onnaing)において、放射性医薬品の新たな製造施設「ATLab Valenciennes」を開所したと公表しました。欧州において鉛212(Pb-212)を用いた標的α線治療薬を工業規模で製造する初の拠点となります。
今回の製造拠点整備には総額2900万ユーロが投じられ、フランス政府の国家投資計画「France 2030」から約380万ユーロの公的資金支援を受けています。施設面積は3000平方メートルを超え、約25人の直接雇用を創出する計画です。
同施設が製造対象とするのは、鉛212を用いた標的α線治療薬です。今回の投資において大きな特徴となるのが、製品の持つ物理的な特性が工場立地や物流体制を定義している点です。
鉛212の放射性半減期は10.6時間と非常に短く、工場で製造されてから病院で患者へ投与されるまでのプロセスを24時間以内に完了させなければなりません。このため、ATLab Valenciennesはパリ・シャルル・ド・ゴール空港およびブリュッセル・ザベンテム空港の双方から車で約2時間という物流上の拠点に配置されました。Orano Medによれば、この立地によって必要な時間内に病院へ治療薬を届け、欧州人口の約70%をカバーできるとしています。
生産能力の面では、段階的な引き上げが計画されています。同施設は中期的に年間最大1万回分の治療薬を供給する生産能力を持つ計画です。さらに施設設計上、フル能力まで設備を導入した場合には、その5倍の生産余地があるとしています。
Orano Medは現在、米インディアナ州インディアナポリスにおいても同様の生産拠点について試運転・稼働準備を進めており、欧州と北米の双方で先進的な治療薬を工業規模で製造・供給する体制の構築を図っています。
先端医療分野においては、新たな治療法の開発だけでなく、短い半減期に合わせて製造、品質管理、輸送、投与までを遅滞なく成立させる産業インフラの構築が不可欠となります。2900万ユーロの投資によって整備されたATLab Valenciennesは、臨床開発が進む標的α線治療について、将来の工業規模での製造・供給を支える生産基盤として整備されました。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













