今回のニュースのポイント
欧州委員会が2026年10月14日に公表した第6回EU外国直接投資(FDI)審査年次報告書によると、2025年に加盟国からEU協力制度へ通知された外国投資案件は前年比約40%増の667件となり、過去最高を記録しました。一方で、加盟国の正式審査を経て判断が報告された案件のうち、無条件での承認が87%、条件付き承認が9%を占め、禁止は約1%にとどまりました。EUは経済安全保障上の懸念に対応しつつ、開かれた投資環境を維持している実態が示されています。
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欧州委員会は2026年10月14日、EU域内への外国直接投資(FDI)審査に関する第6回年次報告書を公表しました。報告書によると、2025年に加盟国からEUの協力制度に対して通知された外国投資案件は667件に達し、2024年の477件から約39.8%(約40%)増加しました。制度の運用開始以来、年間の通知件数としては最大の伸び率を記録しています。
EU協力制度への通知件数は、制度が本格運用された2021年の414件から2025年には667件へ約61%増加しました。2025年に案件を通知した加盟国は21カ国で、2021年の13カ国から増えています。
加盟国各国の国内当局が2025年に取り扱った承認申請や職権調査などの総数は4,773件(前年は3,136件)に達しました。このうち38%が正式審査の対象となり、残る約62%は正式審査を要しないか対象外と判断されました。報告書は、正式審査不要の案件を多数計上したスウェーデンの影響が大きく、同国を除くと正式審査の割合は65%になると注記しています。
国内当局による正式審査を経て最終的な判断が報告された案件のうち、87%が無条件で承認され、9%が条件付きで承認されました。最終的に投資が禁止された割合は約1%、申請が取り下げられた割合は3%でした。審査対象となった投資案件の多くは承認されており、外国投資の受け入れと安全保障上のリスク確認が並行して行われていることが分かります。
EU協力制度へ通知された667件の業種別内訳を見ると、製造業が全体の27%で最大となり、ICT(情報通信技術)が19%、金融関連が17%、卸売・小売が13%で続きました。製造業には産業機械や電気機器、防衛関連製品、医薬品などが含まれます。ただし、業種別の通知割合は、各分野の投資案件が危険と判断された割合を示すものではありません。
外国企業によるEU企業への買収・出資件数(全体統計)では、ICT分野が642件(前年比23%増)となり、製造業の630件(同3.4%増)を上回って最大の投資対象分野となりました。投資元の国・地域別では、買収・出資および新規拠点設立(グリーンフィールド投資)の双方で米国が最大の投資国であり、次いで英国が大きなシェアを占めました。なお、日本からのグリーンフィールド投資案件数は前年比14%減少しました。
2025年にはクロアチア、キプロス、ギリシャで外国投資審査に関する新たな法的枠組みが採択され、EU全27加盟国で審査制度の法的枠組みが整いました。ただし、法制度の成立から実際の運用開始までの時期は国によって異なっています。なお、EUでは2026年6月に改正FDI審査規則が採択されており、2028年1月からの適用に向けてさらなる共通基盤の強化が進められています。
今回の年次報告書は、EU加盟国が重要インフラや先端技術分野を中心に外国投資のリスク確認を強化している一方で、実際の禁止措置は極めて限定的であることを示しています。EUは経済安全保障上のリスク管理と、海外からの投資呼び込みによる市場の開放性を並行して維持する運用を続けています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













