部活動指導員、教員との重複指導が33.7% 会計検査院が効果検証の改善求める

2026年10月19日 17:03

教室

机と黒板が並ぶ学校の教室。会計検査院の検査では、抽出した部活動指導員474人の指導時間の33.7%で教員との重複指導が行われていた。指導員の配置による教員の負担軽減効果をどう検証するかが課題となっている。(写真はイメージ)

今回のニュースのポイント

会計検査院は2026年10月16日付で、スポーツ庁と文化庁に対し、中学校の部活動指導員配置支援事業に関する意見表示を行いました。抽出調査(50事業主体・474人)において、指導員の指導時間の33.7%(休日では45.3%)で教員が一緒に指導・引率する「重複指導」が行われており、教員の負担軽減効果が十分に把握・検証されていないと指摘。制度運用や効果測定の改善を求めました。

本文
 教員の働き方改革や長時間労働の是正に向け、中学校における部活動指導員の配置拡大が進められる中、制度の運用実態と効果検証を巡る課題が浮き彫りとなりました。会計検査院は2026年10月16日、スポーツ庁長官および文化庁長官に対し、会計検査院法第36条に基づく意見表示を行い、重複指導の実態把握や事業効果の適切な検証を行うよう求めました。

 部活動指導員配置支援事業は、教員に代わって実技指導や大会等の引率を行う指導員の配置費用を国が補助する制度です。2018年度に創設されて以降、配置人数は2,193人(国庫補助金2億余円)から、2024年度には12,436人(同17億余円)へと約5.7倍に拡大しています。制度上、指導員は原則として「単独」で指導や引率を行うこととされ、教員との共同指導(重複指導)は「やむを得ない場合」を除き想定されていません。

 今回の会計検査院による検査は、2023年度および2024年度に14都県の66事業主体が実施した事業(対象補助金交付額:計2億7,401万余円)を対象に行われました。このうち、特定の抽出条件を満たす50事業主体の指導員474人(総指導時間87,276時間)について勤務実績簿や教員特殊業務手当の整理簿などを照合したところ、教員と指導員が重複して指導・引率した時間は29,433時間に上り、時間の割合を示す「重複率」は33.7%に達していました。特に休日における重複率は45.3%と高水準で、平日(15.7%)を大きく上回る実態が確認されました。

 重複指導が生じる背景には、現場の運用や判断基準のばらつきが存在します。検査対象となった66事業主体のうち、31事業主体では重複指導を行った日時を把握しておらず、20事業主体ではその理由を把握していませんでした。また、両庁が「やむを得ない場合」の具体的な基準を明示していなかったため、「教員の自発的な指導」や「部活動内容の充実」「セキュリティ対策」といった同一の理由であっても、自治体によって容認するか否かの判断が分かれていました。なお、重複指導には複数会場への引率や生徒の安全確保など合理的な事情に基づくものも含まれるため、一律に不適切と断定されるわけではありません。

 さらに、事業全体の効果を測定する仕組みにも不備がみられました。実績報告書では全66事業主体が「原則として単独で指導や引率を行っている」と回答していましたが、両庁側で実際の重複実態を追跡できていませんでした。また、教員が部活動指導に従事した時間に関する成果指標を設定していた38事業主体のうち18事業主体では、その時間を把握しておらず、成果目標の達成状況を適切に測定できていませんでした。一部の自治体が用いている「教員の在校等時間の減少」という指標も、部活動以外の多角的な要因に影響を受けるため、指導員配置のみの効果を抽出するには不十分であると指摘されています。

 会計検査院は両庁に対し、生徒の安全確保に配慮しつつ、重複指導の実態把握と自治体への適切な指導・助言を行い、教員の働き方改革に関する事業効果を適切に検証する仕組みを講じるよう求めています。単に指導員の配置人数を増やすだけでなく、教員が部活動指導に従事する時間をどれだけ軽減できたか、適切な指標で測定・検証する仕組みが求められています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)