職場の健康づくり指針を改正 がん検診や精密検査の受診勧奨を明記

2026年10月20日 05:52

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厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館の案内板。厚労省は10月19日、職場の健康保持増進指針を改正し、がん検診や精密検査の受診勧奨など、疾病の早期発見・早期治療に向けた取組を明確に位置付けた。(写真は資料画像)

今回のニュースのポイント

厚生労働省は2026年10月19日、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(健康保持増進のための指針公示第13号)を改正しました。従来の生活習慣改善等による発症予防(一次予防)に加え、がん検診や精密検査の受診勧奨といった早期発見・早期治療(二次予防)を健康保持増進対策の一環として明確に位置付けました。女性特有の健康課題への対応や健康経営の観点も盛り込まれており、企業には実情に応じた取組が求められます。

本文
 厚生労働省は2026年10月19日付で、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」を改正しました(健康保持増進のための指針公示第13号)。労働安全衛生法第70条の2第1項に基づく本指針は、同法第69条第1項により事業者が講じるよう努めるべき健康保持増進措置について、原則的な実施方法を示すものです。

 今回の改正における最大の特徴は、従来の「一次予防(生活習慣改善等による疾病の発症予防)」を中心とした考え方に加え、「二次予防(健康診断等による疾病の早期発見・早期治療)」を明確に位置付けた点にあります。これにより、発症予防だけでなく、がん検診等の受診勧奨や検査結果に応じた精密検査の受診勧奨などを通じて、重症化や死亡を予防する取組も事業場の実情に応じて進めることが望ましいとされました。

 指針では、対応すべき健康課題の例として、従来の生活習慣病やメンタルヘルスに加え、がん、女性特有の健康課題(月経困難症や更年期障害等)、歯科疾患、骨粗しょう症、眼科疾患などが明示されました。特にがん検診等については、国が市区町村の検診として推奨する5種類のがん検診(胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がん)と、検診結果に応じた精密検査の受診勧奨が盛り込まれています。

 企業が取り得る具体的措置の例として、事業者自らまたは医療保険者と連携した検診機会の提供、自治体検診の利用推奨、費用助成、特別休暇の付与、啓発ポスターや社内メールによる周知、治療と就業の両立支援などが示されています。ただし、これらは事業場ごとの選択肢や実効性を高める例示であり、すべての企業に一律の検査実施や費用助成、特別休暇の設定などの法的義務を新たに課すものではありません。

 経営的視点においては、労働者の健康保持増進の取組を将来的に収益性を高める「投資」と理解し、戦略的に実践する「健康経営」の考え方が明記されました。また、医療保険者との「コラボヘルス」や自治体・地域医師会等との連携、生涯にわたる保健医療情報「PHR(Personal Health Record)」をデジタルツール等で自ら把握するよう労働者に促すことの有効性も提示されています。

 本指針は、雇用形態にかかわらずすべての労働者を対象とし、企業が自社の実情に合わせて健康管理態勢をアップデートするためのガイドラインとなるものです。検診費用の助成や特別休暇の付与などが全企業に一律に義務付けられるわけではありませんが、労使協力のもとで、早期発見から治療と就業の両立までを見据えた環境整備を進めることが期待されています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)