今回のニュースのポイント
データセンター事業者のPure Data Centres Group(Pure DC)は2026年10月15日、北ロンドンで建設を進める90メガワット(MW)規模の「LON01」データセンターキャンパスで、最後となる3台目の大型電力用変圧器の現地据え付けを完了したと発表しました。日立製の75メガボルトアンペア(MVA)変圧器の設置により変電所全体の容量は150MVAとなり、2026年10月中の通電を予定しています。今回の案件では製造から海上・陸上輸送、特殊設備を用いた現地設置までの一連の工程に18カ月を要しており、AIインフラの整備速度が半導体(GPU)だけでなく、電力設備や物流、施工といった物理インフラに大きく影響される現状を具体的に示しています。
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欧州や中東などでハイパースケールデータセンターを展開するPure Data Centres Group(Pure DC)は2026年10月15日、英国北ロンドンに位置する90メガワット(MW)規模のデータセンターキャンパス「LON01」において、最終となる3台目の電力用変圧器の現地据え付け作業を完了したと発表しました。LON01は、高密度のAI推論(Inference)やクラウドワークロードへの対応を想定し、閉ループ液冷(closed-loop liquid-cooled)技術を採用した次世代型施設です。
今回設置されたのは日立製の75メガボルトアンペア(MVA)変圧器で、既存の設備と合わせて変電所全体の受電容量は150MVAに達します。3台の変圧器はB1棟とB2棟への安定した電力供給を支えるもので、B2棟への接続用ダクトもすでに整備されています。通電は2026年10月中を予定しており、その後、キャンパス専用の電力供給システムが完成する見通しです。
今回の据え付け作業で注目されるのは、設備調達と施工に要した時間と工程の複雑さです。今回設置された75MVA変圧器は、2025年3月にコロンビアで製造が始まり、2026年6月の工場試験、英国への海上輸送と国内での陸上輸送を経て据え付けられました。製造開始から設置までの一連の工程には18カ月を要しました。陸上輸送にあたってはルート設計や道路閉鎖、現地自治体の許可取得など緻密な物流調整が行われました。
設置現場においても物理的な制約が存在しました。既に稼働中であったLON01変電所周辺の敷地が狭小であったため、通常の500トン級クレーンを配置することができませんでした。このため同社プロジェクトチームや物流業者などは、吊り上げ能力1,000トンの専用ガントリーシステムを設計・導入しました。事前準備を重ねた上で、最終的な変圧器の吊り上げと配置作業自体は約4時間で完了しました。
AI需要の急増に伴い、データセンター投資ではGPU(画像処理半導体)やサーバー機器の確保に関心が集まりがちです。しかし、高密度な計算資源を稼働させるには、変電設備や変圧器、配電盤、冷却システム、非常用電源といった周辺の物理インフラが不可欠となります。計算設備の増強には、電力供給と発熱への対応を並行して進める必要があります。
Pure DCは欧州、中東、アジアで稼働中・開発中を合わせて1ギガワット(GW)超の容量を擁していますが、データセンター開発における主な課題として土地の確保や電力制約、規制上のハードルを挙げています。90MWのAI対応施設において、変圧器1台の製造着手から据え付けまでに18カ月を要し、特殊な重機設計や自治体交渉が必要となった今回の事例は、AIデータセンターの建設には半導体だけでなく、大型電力設備の製造・輸送・据え付けや、現場の施工条件への対応も必要になることを示しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













