今回のニュースのポイント
会計検査院は2026年10月15日、総務大臣に対し、新型コロナウイルスや物価高対策の地方創生臨時交付金を原資として地方自治体が造成した基金について改善処置を要求しました。検査対象となった18県30事業(2025年度末残高95億1356万円余)のうち、宮城県や広島県など13県23事業で計49億6103万円余の使用見込みのない基金残高を確認しました。会計検査院は総務省に対し、管理報告制度の改善や規程の改正とともに、13県に国庫返納手続きを取らせるよう求めました。一方、政府内でも2027年度末に約7兆円に上る基金残高の見直しが進められており、国費の滞留を防ぐ取り組みが広がっています。
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会計検査院は10月15日、総務省が管轄する新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金や物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を原資として設置された基金について、13県で計49億6103万円余(交付金充当額も同額)の使用見込みのない残高が保有されているとして、総務大臣に改善処置を要求しました。基金の終期を待つことなく、使用予定のない資金を早期に国庫へ返納させる手続きを取るよう求めています。
今回の検査対象は、2025年度末時点で2022~2024年度の事業により積み立てられ、基金の終期が2027年度末以降となっている18県30事業(2025年度末基金残高計95億1356万円余)です。このうち13県23事業(同残高計76億4216万円余)を精査したところ、積立年度末に確定した対象融資契約の融資合計額が当初の想定を下回ったことなどから、将来の信用保証料補助や利子補給等に使用する見込みのない資金が49億6103万円余発生していると算定されました。対象となったのは宮城県、山形県、茨城県、静岡県、三重県、島根県、広島県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県の13県です。
使用見込みのない資金が基金に残り続けた背景には、総務省による基金管理上の問題がありました。これらの基金事業は信用保証料補助などが中心であり、融資元本の返済に伴って債務残高が減少するため、自治体が支払う補助金額も年々減少します。しかし、総務省は状況報告書に積立年度ごとの支出額や将来の支出見込額、基金残高を記載させておらず、検査対象18県のうち15県では、複数年度の積立分を合算した基金残高等が報告されていました。このため、新たな保有割合も、基金規模の妥当性を判断する指標として十分に機能していませんでした。
さらに、総務省は自治体に対して余剰金の終期前返納を検討するよう文書で依頼していましたが、13県は文書の主な目的を基金に関する調査表の提出依頼と認識していたほか、基金管理運営要領に終期前の国庫返納が明示されていなかったため、返納手続きが進んでいませんでした。これらを受け会計検査院は総務省に対し、①状況報告書を積立年度ごとの記載様式に改めること、②要領に終期前の国庫返納検討を明記すること、③今回の13県について使用見込みのない残高の国庫返納手続きをとらせること、の3点を改善処置として要求しました。
今回の会計検査院の改善要求とは別に、高市政権も租税特別措置・補助金・基金の見直しを進めています。高市首相は10月5日の所信表明演説で「責任ある積極財政」を掲げ、「日本版DOGE」の取り組みを強化し、租税特別措置・補助金・基金の見直しを徹底する方針を表明しました。
財務省の片山財務相も10月2日および9日の閣議後会見で、政府管轄の約200の基金において2027年度末の予想残高が約7兆円に上る見通しを示した上で、「眠っている資金は眠らせておかないで一旦吸い上げる」と述べました。事業の性質に応じて基金の滞留資金を国庫に返納させ、国庫債務負担行為の活用へ切り替えることで、予見可能性を確保しつつ資金の活用効率を高める仕組みを2027年度予算編成過程で具体化する意向を示しています。ただし、約7兆円は基金全体の予想残高であり、その全額が不要な資金や国庫返納の対象になるという意味ではありません。
政府はまた、10月9日に、2027年4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げることなどを盛り込んだ法案を閣議決定したと説明しています。高市首相はその財源について「特例公債に頼らずに確保する」との基本原則を示しています。
今回の会計検査院による13県への指摘と、政府が進める7兆円規模の基金見直し方針との間に直接的な指示・接続関係が確認されているわけではありません。しかし、国費を必要以上に基金へ滞留させないという課題が、会計検査院の指摘と政府の基金見直しの双方に表れています。今後、政府が約7兆円に上る基金残高の精査を進める中で、不要資金をどの程度国庫へ戻し有効活用できるかが、2027年度予算編成における焦点の一つとなります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













